一台のカメラには、いくつの会社の仕事が入っているのでしょうか。レンズのガラスを溶かす会社、光を電気に変える部品を設計する会社、音の規格を決める会社、ネジ一本をつくる会社、そして箱に詰めて店頭まで運ぶ会社。数えていくと、その数は数百に及びます。見慣れた機材とロゴの向こう側にいる、会社と人と歴史をたどる連載、ピクスロ|写真の裏側を、2026年7月28日(火)から始めます。
この連載で書くこと
「写真の裏側」は、機材レビューでも業界ニュースでもありません。見慣れた製品やロゴの向こう側にある、会社の成り立ち、技術の選択、そして時代の変化を、公表されている資料を丁寧にたどって書く読み物です。
扱うのは、有名なカメラメーカーだけではありません。レンズ用のガラスをつくる素材メーカー、部品を世界中から集めて運ぶ商社、街の写真店、写真を教える学校、そして撮った映像が誰かの画面に届くまでの仕組みまで。「写真」という一語の裏に、どれだけの仕事が積み重なっているのかを、一つずつほどいていきます。
写真やカメラといった身近な題材を通じて、国内外における企業の経済活動について興味を持っていただけるような連載です。
この連載は企業と技術、そして社会についてです。ときには売上や利益といった数字も使います。会社の物語を正確に読むための知識として楽しんでお読みいただければと考えています。
読者への3つの約束
- ファクトに忠実であること。有価証券報告書・決算短信・公的統計・企業公式発表といった一次情報を優先し、出典を明示します。
- 媚びないこと。称賛と批判のどちらにも偏らず、評価は数字と歴史で語ります。
- 専門用語に逃げないこと。技術の言葉も、企業の資料に出てくる言葉も、はじめて見る人に分かるように言い換えます。
更新ペース
更新は 毎週火曜日と金曜日の週2回 です。
第1回の予告(7月28日・火)
#01 Dolby Laboratories(DLB、NYSE)——自分では何も作らない会社は、どこで稼いでいるのか
映画館の幕前、テレビの起動画面、スマートフォンの設定画面。同じロゴを一日に何度も目にしながら、その会社が何を売っているのかを説明できる人はほとんどいません。第1回は、自社ではテレビもスピーカーもつくらないのに、映像と音声の「規格」を押さえることで収益を得ている企業のビジネスモデルを、ライセンス収入の構造から読み解きます。「なぜ自分の機材にあのロゴが入っているのか」の答えと、名前を知られないまま強い立場を保ち続ける会社の姿が、同時に見えてくる回です。

以降の予定(第5回まで)
| 回 | 公開日 | テーマ | 読みどころ |
|---|---|---|---|
| #01 | 7/28(火) | Dolby Laboratories(DLB、NYSE) | 製造しない企業が規格で稼ぐ仕組み |
| #02 | 7/31(金) | キヤノン(7751) | カメラの会社の売上の大半は、実はカメラ以外 |
| #03 | 8/4(火) | CMOSセンサー世界シェア地図 | 世界の「目」をつくっているのはどこの国の何社か |
| #04 | 8/7(金) | 富士フイルムHD(4901) | フィルムの会社が医薬と半導体で稼ぐまで |
| #05 | 8/11(火) | ソニーセミコンダクタソリューションズ | スマホのカメラを支える、表に出ない事業体 |
その先は、ソニーグループ(6758)、「一軒の家にカメラは何台あるか」、HOYA(7741)、オリンパス(7733)と続きます。
こんな方に読んでほしい
- 機材を選ぶときに、スペックだけでなく背景の話も楽しみたい方
- 見慣れたロゴやブランドの成り立ちを知りたい方
- ものづくりや技術の変遷を、物語として読むのが好きな方
- 写真・映像の仕事に関わっており、業界の全体像を俯瞰しておきたい方

