アツデン SGM-250CX vs オーディオテクニカ AT875R|小型シネマカメラ・カムコーダーに最適なコンパクトガンマイク

画像はイメージです。Google Gemini Nano Banana 2により生成されました。

「もう少しだけ、音をよくしたい」——その気持ちに寄り添う2本のマイク。

小型シネマカメラやカムコーダーで映像を撮るとき、内蔵マイクの音質に不満を感じたことはないだろうか。風の音、周囲の雑踏、エアコンのノイズ……。映像がどれほど美しくても、音が悪ければ作品の印象は大きく損なわれる。

そこで選択肢に挙がるのが、カメラに直接マウントできるコンパクトなXLRガンマイクだ。

今回取り上げるのは、アツデン SGM-250CX(および派生モデルのSGM-250MX・SGM-250LX)とオーディオテクニカ AT875R。どちらも全長わずか約15〜17.5cmという小型サイズで、Sony FX3、Canon C50、Blackmagic PYXIS 6K(Mini-XLR接続)といった小型シネマカメラや、Canon XF605、Panasonic AG-CX370、Sony Z200などの小型〜中型カムコーダーとの相性が抜群に良い。

AZDEN SGM-250LX
AZDEN SGM-250LX(SGM-250CXのバリエーションのひとつ)を装着

上記の写真はCANONのCINEMA EOS C50というビデオカメラにRF24-105mm F2.8 L IS USM Zというかなり長いズームレンズの組み合わせだ。装着しているAZDEN SGM-250LXの全長は15.3cmと、一般的なガンマイクと比べ9cm少々短い。それでようやくバランスが取れているようみえる。マイク本体の長さがある場合、超広角レンズで撮影する際に映り込みしてしまうリスクもある。ビデオカメラにガンマイクが必要になる状況はゆっくりと作品づくりをするというよりは、機動力を求められる現場が多い。良い音で録りたい、でも動きにくいのは嫌だ。そういった状況での取り回しに便利なのが、今回紹介するマイクだ。

この記事では、この2本を多角的に比較しながら、「自分にとってのベストな1本」を見つけるお手伝いをしたい。


目次

1. アツデンとオーディオテクニカ——2つのブランドの歩み

アツデン(Azden)

アツデンについては別記事「アツデンの歴史|圧電技術の町工場から世界の映像現場へ」で詳しく紹介しているので、ここでは簡潔にまとめる。

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アツデンは1952年、東京で創業した音響機器メーカーである。70年以上にわたりマイクロフォンやワイヤレスオーディオ機器を製造し続けている老舗だ。国内での知名度はそれほど高くないが、北米市場では教会音響市場を中心に根強い信頼を獲得してきた。現在も本社は東京都三鷹市にあり、海外拠点としてニューヨークにAzden Corporationを構えている。

製品の幅も広い。撮影用のショットガンマイクやワイヤレスマイクシステムだけでなく、業務用カラオケマイクシステムの製造・販売も手がけている。カラオケ店の運営者向けにワイヤレスマイクシステムを供給しており、「ステージで使うマイク」から「カラオケで使うマイク」まで、幅広い音の現場を支えているのがアツデンという会社の実像だ。このカラオケ向け製品の製造は、後述する岩手県花巻市の工場が担っている。

オーディオテクニカ(Audio-Technica)

オーディオテクニカは1962年、東京都新宿区で松下秀雄によって創業された。資本金100万円、従業員わずか3名というスタートだった。最初の製品はMM型ステレオカートリッジ「AT-1」と「AT-3」。レコード針のメーカーとして出発し、その精密な振動変換技術が同社のDNAとなっている。

1970年代に入るとヘッドホンとマイクロフォンの製造に進出。1991年にはスタジオ用コンデンサーマイクロフォン「AT4033」がAES(Audio Engineering Society)の展示会で年間最優秀マイクロホンに選ばれ、プロオーディオの世界でも確固たる地位を築いた。

オリンピックとの関わりも深い。1996年のアトランタ大会では1,500本以上のマイクロフォンを提供。以降、ソルトレーク(2002年)をはじめとする各種国際スポーツイベントで音響を支え続けている。

現在の本社は東京都町田市(成瀬事業所)。「私は数千枚のレコードのコレクションを誇るより、好きなレコードを最良の状態で再生するように念願しています」——創業者・松下秀雄のこの言葉は、同社の「量より質」という哲学を端的に表している。

マイクロフォンの守備範囲はプロオーディオにとどまらない。オーディオテクニカも業務用カラオケ向けのマイクロフォン・システムを展開している。前述のオーディオテクニカフクイが「カラオケ店にあるカラオケマイクの多くは当社製品」と語るように、私たちが普段カラオケ店で何気なく手にしているあのマイクにも、日本の音響メーカーの技術が息づいているのだ。赤外線コードレスマイクシステムなど、業務用途に向けた独自の技術も同社の強みである。


2. SGM-250シリーズとAT875R——製品の概要

アツデン SGM-250CX/SGM-250MX/SGM-250LX

アツデンの「ニゴマル(250)シリーズ」は、同社を代表するショットガンマイクロフォンのラインナップだ。その中でもSGM-250CXはシネマカメラやミラーレスカメラ向けに設計されたコンパクトモデルで、全長わずか153mm(約6インチ)。XLRケーブルが本体に直付けされており、カメラのXLR端子にそのまま接続できる。

派生モデルとして以下の2機種がある。

  • SGM-250MX:出力端子がミニXLR(3ピン)。Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K/6KやCanon C70など、ミニXLR入力を持つカメラ向け。
  • SGM-250LX:業界初のロープロファイル・ライトアングルXLRコネクタを採用。通常のXLRコネクタに比べて突出量が約35mm短く、ケーブルの取り回しがスマート。

3モデルともマイクカプセル自体は同一で、違いは出力端子の形状とケーブル長のみだ。

オーディオテクニカ AT875R

AT875R
created by Rinker

AT875Rは、オーディオテクニカのショットガンマイクラインナップの中で最も短いモデルとして位置づけられている。全長175mm(約6.89インチ)で、ENGカメラやEFPでの音声収録を主な用途として設計された。

XLRコネクタは本体末端に一体型で組み込まれているストレート接続タイプ。ケーブル直付けではなく、通常のXLRケーブルで接続する一般的なスタイルだ。


3. どこで作られているのか?——製造拠点について

アツデン SGM-250シリーズ

SGM-250シリーズは日本国内でハンドクラフト(手作り)されている。アツデンの公式サイトおよび各販売店のプロダクトページには「Handcrafted in Japan」と明記されている。

そして、アツデンの主要生産拠点は岩手県花巻市にある岩手工場だ。同社の公式サービスページには「There is Iwate factory which is our main production base in Hanamaki-shi, Iwate.(岩手県花巻市に、当社のメイン生産拠点である岩手工場がある)」と明記されている。

花巻、という地名に聞き覚えのある方も多いのではないだろうか。そう、大谷翔平選手と菊池雄星選手の母校、花巻東高校がある街だ。「花巻から世界へ」を体現したふたりの野球選手を育てたこの地で、アツデンのマイクもまた、ひとつひとつ手作りされている。ショットガンマイクからカラオケ用マイクシステムまで——ものづくりと才能が共鳴する街、花巻。その工場で生まれた音が、世界の映像現場を支えていると思うと、なんだか誇らしい気持ちになる。

オーディオテクニカ AT875R

AT875Rの原産国は日本である。各販売店のスペックシートや輸入元の情報に「Country of Origin: Japan」と記載されている。

オーディオテクニカは日本国内に**福井県越前市の「オーディオテクニカフクイ」**という製造子会社を持っている。同社はプロフェッショナル音響機器(マイクロフォン、ヘッドホン)の設計開発・製造を担っており、無響室や電波暗室を備えた本格的な音響検査環境を有している。AT875Rがこの福井工場で生産されているかどうかは公式に明言されていないが、同社のプロ用マイクロフォンの製造拠点として福井が中核を担っていることは間違いない。

なお、オーディオテクニカは台湾や中国にも工場を展開しているが、プロ用マイクロフォンについては「国内工場での手作り」を重視している旨が公式カタログに記載されている。

つまり、どちらも”Made in Japan”だ。 この価格帯で日本製のガンマイクが2本も選べるというのは、実はとても贅沢なことである。

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