
三脚を買い替えるとき、あなたは何を基準に選ぶでしょうか。重量か、耐荷重か、それとも「どこの誰が作っているか」か。——このサイトでは以前、「VANGUARD(バンガード)の歴史と現在——台湾生まれ・中国育ちの三脚メーカーは、いまどこにいるのか」という記事で、1986年に台湾で創業されたこの三脚メーカーの全貌を描きました。自社工場100%の垂直統合モデル、TIPA連続受賞の技術力、そして日本市場での存在感の薄さ——。今回は、その「見えない実力者」が送り出したカーボン三脚 ALTA PRO 3VL 304CT と、ビデオ雲台 VEO PV-20 を実際に手に取り、スペック・使い勝手・競合製品との比較してみます。
第1章:なぜVanguardなのか——前回記事の振り返りと、今回のレビューの位置づけ
本題に入る前に、前回の記事で明らかにしたVanguardの素性を簡潔におさらいしておきましょう。
Vanguard(精嘉)は、1986年に台湾人女性起業家 Anne Lee が創業した Guardforce Group の自社ブランドです。当初は大手日系メーカーのOEM三脚を受託製造していましたが、1990年代中盤から自社ブランドへの転換を果たしました。現在は三脚・カメラバッグ・スポーツ光学機器の3本柱でグローバル展開を行っています。
製造拠点は中国・広東省佛山市南海区とミャンマー(ヤンゴン近郊フマウビ)の二拠点体制。「We ARE the factory(私たちが工場そのものだ)」を標榜し、企画・設計・製造・販売のすべてを自社内で完結させる垂直統合モデルを維持しています。日本には GUARDFORCE JAPAN LTD.(東京都千代田区岩本町)という自社法人を置いており、ディストリビューター任せにしない体制を敷いているようです。
しかし、日本市場での認知度は依然として低いといえます。確かに、都市部のヨドバシカメラやビックカメラに行くと、VANGUARD製品はManfrotto、Libec、SLIK、Velbon、SIRUI、Leofotoなどと共にたくさん陳列されています。しかしロードサイドの家電量販店で購入しようよ思っても、製品自体を見かけることが少ない印象です(これは他のメーカーも同じ状況ではあります)。そうなってくるとウェブ上でよく見かけるメーカーが優位だと思いますが、ブランドの浸透力はいまひとつといえます。そして、CN AWARDの三脚・一脚部門でトップ3に名前が出ることはなく、「三脚といえば?」と聞かれて「Vanguard」と答える日本人はまだ少数派なのではないでしょうか。
では、認知度の低さは製品の品質に起因するのでしょうか。それとも、単にマーケティングの問題なのでしょうか。——その問いに答えるために、今回は筆者が使用しているVANGUARDのカーボン三脚と、それに組み合わせて使用しているビデオ雲台を元に考えてみます。
第2章:Vanguardが得意とする三脚——MACCからレベリングベースへ
Vanguardの三脚史を語るうえで避けて通れないのが、MACC(Multi-Angle Center Column) システムです。2009年に登場した Alta Pro シリーズに初搭載されたこの機構は、センターコラムを垂直方向だけでなく任意の角度に傾けることができます。マクロ撮影や俯瞰撮影の自由度を飛躍的に向上させました。Alta ProはTIPA「Best Accessory」賞を受賞し、Vanguardの名を世界に知らしめるきっかけとなりました。
2017年の Alta Pro 2+ ではMACCが改良され、TIPA「Best Tripod」とRed Dot Design Awardのダブル受賞を果たしました。
そしてその光景シリーズであるのが現在筆者が使用している、Alta Pro 3VL シリーズです。このシリーズの最大の特徴は、従来のセンターコラムを廃し、代わりに レベリングベース(水平調整機構) を三脚のキャノピー(天板)に内蔵したことです。レベリングベースとは、三脚の上部で360°のパンと±15°の垂直チルトを行い、不整地でも素早く水平を出せる機構のことです。

この構造はビデオ三脚の世界では標準的なもので、Sachtler(ザハトラー)やMiller(ミラー)といった放送用三脚メーカーでは、75mmや100mmのボウル(半球型受け皿)を三脚の天板に配置して、その上にビデオ雲台を載せるスタイルを長年採用しています。Vanguardの Alta Pro 3VLは、この「ビデオ三脚的な設計思想」をスチル撮影にも対応する汎用三脚に落とし込んだ製品と言えます。
センターコラムを廃することには、もうひとつの大きな利点があります。折りたたみ時の直径が小さくなることです。ALTA PRO 3VL 304CTは、折りたたみ時の直径がわずか 70mm です。センターコラムがないことにより実現できたといえます。
第3章:ALTA PRO 3VL 304CT——スペック詳解
まず、ALTA PRO 3VL 304CTの主要スペックを一覧にまとめます。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 素材 | カーボンファイバー(CNC加工) |
| 脚段数 | 4段 |
| 脚径 | 30mm |
| ロック方式 | ツイストロック(サイレント仕様) |
| 最大高 | 1,525mm(雲台なし) |
| 最低高 | 145mm(雲台なし) |
| 縮長 | 560mm |
| 折りたたみ時直径 | 70mm |
| 重量 | 1,430g |
| 耐荷重 | 13kg |
| レベリングベース | 内蔵(パン360°、チルト±15°) |
| 天板径 | 55mm |
| センターコラム | なし(レベリングベースに置換) |
| 開脚角度 | 3段階(23°、50°、80°) |
| 石突 | ラバー/スチールスパイク(リトラクタブル) |
| 雲台取付ネジ | 1/4インチ(3/8インチアダプター使用可) |
| マジックアーム取付 | キャノピー側面に3/8インチネジ穴+バヨネットスロット |
| フック | あり(重り吊り下げ用) |
| 付属品 | パッド入り三脚バッグ、ヘキサゴンレンチ(2.5mm、3mm、4mm) |
| 保証 | 2年(延長保証で最大10年) |
いくつか注目すべきポイントがあります。
CNC加工のカーボンファイバー脚。 「CNC machined carbon fibre」とVanguardは表記している。カーボンファイバーパイプは、Vanguardの自社工場で製造されたものです。
30mm径の4段脚。 脚径30mmは、安価な三脚と比べると非常に太く感じますが、フルサイズの三脚としては標準的なスペックです。Manfrotto 055シリーズ(29.2mm)とほぼ同等です。とてもコンパクトな縮長560mmを実現しつつ、最大高は1,525mmに達します。ビデオ雲台を載せると、身長170cmくらい方がアイレベルで撮影できる高さです。
重量1,430g。 これは率直に言ってかなり軽いです。筆者が使用しているManfrotto 055カーボン3段(MT055CXPRO3)の約2,100g(公称値)と比べると、約670gも差があります。
耐荷重13kg。 レベリングベース搭載の三脚で耐荷重13kgは、比較的余裕があるといえます。


第4章:ALTA PRO 3VL 304CTのよいところ
① レベリングベース内蔵の合理性


この三脚の最大の特徴です。
水平出しは、地味に時間がかかる作業です。ビデオ撮影では、パンした際に画面が傾くのは致命的なので、水平出しには正確さが必要です。レベリングベースがあれば、ベースのロックを緩めて水準器を見ながら傾きを調整するだけでOKです。これは写真用三脚では難しいことです。
Vanguardのレベリングベースは±15°の調整幅を持ち、水準器(スピリットバブル)も内蔵しています。この調整幅は、一般的な75mmボウル三脚と同等です。
② 圧倒的な携帯性
1,430gという重量と、560mmという縮長、そして70mmという折りたたみ時の直径、このサイズ感であればカメラ用リュックの商品紹介で見かける、「サイドポケットに三脚が差し込まれたカメラバッグ」が実現できます。
カーボンファイバーの恩恵は、単に軽さだけではありません。振動減衰特性がアルミニウムより優れているため、シャッター振動や風による微細なブレが抑えられるという利点もあります。

③ 脚の開脚角度3段階設定
23°(通常)、50°(ワイド)、80°(ローアングル)の3段階を切り替えられ、ローアングルでは雲台なしで最低高145mmになります。
第5章:ALTA PRO 3VL 304CTのよくないところ
① センターコラムがないことのトレードオフ

レベリングベースの搭載と引き換えに、センターコラムは存在しない。センターコラムの上下によって高さを微調整する運用に慣れた人にとって、これは最初に違和感を覚えるポイントだろう。
最大高1,525mmは脚を全伸ばしにした状態の数値であり、ここからさらに10〜20cmの高さ調整をしたいとき、センターコラムのある三脚なら簡単に対応できる。この三脚ではそれができない。
もっとも、センターコラムを伸ばすと三脚の安定性は著しく低下するため、「センターコラムは伸ばさないのが原則」という考え方もある。その立場からすれば、これはデメリットではなく、むしろ合理的な設計判断である。
② ツイストロック方式の好みの問題

ALTA PRO 3VL 304CTの脚ロックはツイストロック方式を採用しています。Vanguardはこれを「サイレント・イージークリーン」と呼び、静音性と清掃のしやすさをアピールしています。しかし、ツイストロックとレバーロックのどちらが優れているかは、ユーザーの好みと用途に大きく依存しています。(「よくないところ」で挙げたものの、実は筆者はツイストロック方式の方が好みです。)
パチンと留めるタイプのレバーロック(フリップロック)は「ロック状態が目視で確認できる」「操作が直感的」という利点があります。Manfrotto 055シリーズの一部モデルやBenroの多くのモデルはレバーロックを採用しており、特にビデオ撮影の現場では素早いセットアップを重視するユーザーからレバーロックが好まれる傾向があります。
③ 付属の三脚バッグのサイズ
おまけ程度の袋ではなく、パッド入りのしっかりとしたクオリティの三脚バッグが付属します。しかも開閉しやすいです。上部からのクイックアクセスも可能なため忙しい現場ではとても便利です。
しかし、非常に残念なことに、筆者が別途購入した雲台を装着したまま収納することができません。コンパクトなボール雲台であれば同梱できるのですが、この三脚はビデオ三脚なのでそういった雲台と組み合わせることは(筆者の使い方では)ほとんどないといえます。
④ 日本市場での入手性
これは製品そのものの問題ではありませんが、あえて触れておきます。ALTA PRO 3VL 304CTは、すでに販売終了モデルなのか、公式サイトでの取り扱いが限定的なようです。
また、このモデルに限りませんが、モデルが多種多様なのにもかかわらず全体的に情報量が少ないので、初めて三脚を購入する方にはどのモデルを選んだらよいのか分からない=選ぶ基準を提供してくれる他のメーカーを選ぶという流れになってしまうと思います。
筆者は脚が28cm以上でカーボン、4段でレベリングベース有りという三脚を探していたのでこのモデルを選択しましたが、三脚の選び方が分かっている層でないと、選択肢にすら上がらないように思います。
第6章:VEO PV-20 ビデオ雲台——スペック詳解

次に、ALTA PRO 3VL 304CTとの組み合わせるために購入したビデオ雲台、VEO PV-20 を見ていきます。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| タイプ | 2ウェイ・フルードビデオヘッド |
| 素材 | アルミニウム |
| 重量 | 1,180g(2.6 lbs) |
| 耐荷重 | 6kg(13.2 lbs) |
| ベース径 | 58mm(フラットベース) |
| パン | 360° |
| チルト | +90°〜-60° |
| カウンターバランス | スプリング式(固定) |
| ドラグ調整 | チルト:テンショナー調整あり |
| クイックリリースプレート | QS-67(1/4″-20 & 3/8″-16 ネジ付属) |
| アルカスイス互換 | 非対応 |
| 水準器 | 2個 |
| ハンドル | 伸縮式ダブルハンドル(2本付属) |
| 安全ピン | あり(カメラ/スコープ回転防止) |
| 取付 | フラットベース(3/8″-16ネジ) |
VEO PV-20は、Vanguardのビデオ雲台ラインナップにおけるエントリー〜ミドルクラスの位置づけと思われます。(三脚はハイエンドなので雲台はエントリーモデルで既に釣り合っていないというご指摘はごもっともです)
第7章:VEO PV-20のよいところ


① 軽量かつコンパクト
1,180gという重量は、ビデオ雲台としてはかなり軽いと思います。後述するManfrotto MVH502AH(約1,691g)と比較して500g以上軽く、ALTA PRO 3VL 304CT(1,430g)と合わせても、システム総重量は約2,610gです。
② スプリング式カウンターバランス
カウンターバランスは、カメラを傾けたときに自重で「お辞儀」してしまうのを防ぐ機構です。VEO PV-20はスプリング式のカウンターバランスを搭載。ある程度の重量の機材を載せた際に、チルト(上下首振り)の操作感が安定します。
ただし、このカウンターバランスは 固定式 のため、あらかじめ想定された重量帯(おそらく2〜3kg前後)で効果的に機能しますが、極端に軽い機材や重い機材では効きが不適切になる可能性があります。
③ ダブルハンドル
伸縮式のハンドルが2本付属します。ハンドルは伸縮式なので、収納時にはコンパクトです。
第8章:VEO PV-20のよくないところ
① QS-67クイックリリースプレート
カメラの取り付けには、QS-67と呼ばれるロングタイプのクイックリリースプレートを使用します。1/4″-20と3/8″-16の両方のネジが付属。回転防止ピンが備わっており、意図しない脱落やカメラの回転を防止できるのは安心です。
なお、一見したところマンフロット互換にみえます。試しにマンフロットのプレート504PLONGをVEO PV-20に挿してみたところ問題なく使用可能でした。一方、VANGUARDのプレートQS-67をマンフロットの雲台MVH502AHに装着しようとしたところうまくいきませんでした。マンフロットと雲台と併用する方はご注意ください。
今回あえて「よくないところ」としたのは、相互互換性がなかったからです。ただし、複数メーカーの雲台を同時に利用する方は多くないと思いますのでほとんどの方にはデメリットにはならず、むしろ回転防止ピンがしっかり役目を果たしてくれるのでありがたいプレートだと思います。
なお、アルカスイス互換ではないことがデメリットになる方は少なくないように思います。近年の写真用三脚(特に中国メーカーのもの)ではアルカスイス互換クランプが搭載されていることが多いからです。
筆者も写真用三脚ではアルカスイス互換クランプを使用しているので、静止画での利用を考えている方には使いにくい仕様だと思います。
② カウンターバランスの段階調整ができない
前述のとおり、VEO PV-20のカウンターバランスはスプリング式の固定仕様です。ManfrottoのMVH502AH(固定式だが4kg設定で設計)や、BenroのS6PRO(5+0段階調整)等の競合機種と比べると、カウンターバランスの「合う機材」と「合わない機材」の幅が広いように思われます。
③ パンのドラグ調整がない
チルト(上下)方向にはテンショナー(抵抗調整)が設けられていますが、パン(左右)方向のドラグ調整は搭載されていません。これは価格帯的に仕方のないことだと思いますし、機能だけついていて使い物にならないよりは良いのかなと思います。
筆者が使用している他のメーカーの雲台だと、Manfrotto MVH502AHは、パンとチルトの両方にバリアブル・フルード・ドラグシステムを備えているため、特にスムーズなパン動作(横移動)が必要な撮影ではVEO PV-20の出番はありません。
第9章:VEO PV-20の競合製品との雲台単体比較
VEO PV-20を、同価格帯〜やや上の競合ビデオ雲台と比較してみましょう。
| 項目 | Vanguard VEO PV-20 | Manfrotto MVH502AH | Libec TH-X(雲台部) | SLIK シネママスター274(雲台部) |
|---|---|---|---|---|
| タイプ | 2ウェイフルード | 2ウェイフルード | 2ウェイフルード | スプリングバランス+オイルフリュード |
| 重量 | 約1,180g | 約1,691g | 約1,200g(雲台部推定) | —(脚一体設計、雲台分離不可) |
| 耐荷重 | 6kg | 10kg | 4kg | 3kg |
| カウンターバランス | スプリング式(固定) | 固定式(4kg設定) | スプリング式(固定) | スプリングバランス |
| パンドラグ調整 | なし | あり(バリアブル) | なし | あり(オイル) |
| チルトドラグ調整 | テンショナーあり | あり(バリアブル) | なし | あり(オイル) |
| ベース | フラットベース58mm | 75mmボウル+フラットベース | 65mmボウル+フラットベース | 60mmボールレベラー(脚一体) |
| プレート | QS-67 マンフロット互換タイプと思われる(適合しないものもある可能性) | 504PLONG マンフロット純正 | マンフロット・ザハトラー互換 | アルカスイス互換 |
この比較から見えてくるのは、VEO PV-20が 「小型・軽量なエントリーレベルのビデオ雲台」 であるということです。本格的なフルード機構やバリアブルドラグを求めるなら、MVH502AHやSLIKシネママスターの雲台が上位に位置します。
第10章:三脚+雲台セットで競合と徹底比較
ここからが本記事の核心部分だ。ALTA PRO 3VL 304CT+VEO PV-20のシステムを、実際に競合する三脚+雲台のセット4組と比較します。
比較対象
- Manfrotto MVH502AH+055カーボンビデオ三脚4段(JP A00089BMN相当のセット)
- Libec TH-X(三脚+雲台一体キット)
- SLIK シネママスター 274(三脚+雲台一体型)
- Benro A2573FS6PRO(三脚+S6PRO雲台キット)——中華三脚代表
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| 項目 | Vanguard ALTA PRO 3VL 304CT + VEO PV-20 | Manfrotto MVH502AH + 055カーボン4段 | Libec TH-X | SLIK シネママスター 274 | Benro A2573FS6PRO |
|---|---|---|---|---|---|
| 脚素材 | カーボン | カーボン | アルミ | AMT合金(アルミ・マグネシウム・チタン) | アルミ |
| 脚段数 | 4段 | 4段 | 2段 | 4段 | 3段 |
| システム総重量 | 約2,610g | 約4,200g | 約3,100g | 約1,980g | 約3,570g |
| 耐荷重(雲台) | 6kg | 10kg | 4kg | 3kg | 6kg |
| 最大高 | 約1,525mm+雲台高 | 約1,790mm | 約1,590mm | 約1,510mm | 約1,800mm |
| 縮長 | 約560mm+雲台高 | 約830mm | 約754mm | 約610mm | 約820mm |
| レベリング機構 | 内蔵(±15°) | レベリングコラム搭載 | 65mmボウル | 60mmボールレベラー | レベリングアダプター付属 |
| カウンターバランス | スプリング(固定) | 固定(4kg) | スプリング(固定) | スプリングバランス | 5+0段階調整 |
| パン/チルトドラグ | チルトのみ | パン・チルト両方(バリアブル) | なし | パン・チルト(オイルフリュード) | パン・チルト(連続可変) |
| アルカスイス互換 | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
| スプレッダー | なし | なし | ミッドスプレッダー付 | なし | なし |
| 原産国/ブランド | 台湾ブランド・中国/ミャンマー製造 | イタリアブランド・中国製造 | 日本ブランド・日本設計・台湾製造 | 日本ブランド・日本製造 | 中国ブランド・中国製造 |
比較1:Manfrotto MVH502AH+055カーボンビデオ三脚4段
Manfrotto 055シリーズは、「写真三脚の定番」として世界中で認知されています。このブログでも紹介したことがあります。
055カーボンビデオ三脚にMVH502AH雲台を組み合わせたキットは、筆者が思うに最大高と縮長にこだわりたい方にとっては最高の組み合わせだと思います。MVH502AHのバリアブルフルードドラグはパンとチルトの両方で抵抗を無段階調整できるのですが、VEO PV-20とは比べるまでもなく使いやすいです。三脚自体もしっかりしたつくりのため、ミラーレスタイプのビデオカメラならかなりのシーンに対応できると感じています。
Manfrottoの強み: 雲台の操作品質(フルードドラグの滑らかさ、カウンターバランスの安定感)
Manfrottoの弱み: システム総重量が約4.2kgとなり、Vanguardセット(約2.6kg)より 1.6kg重いです 。
比較2:Libec TH-X
Libec(リーベック)は、日本のプロフェッショナルビデオ三脚メーカーです。放送業界向けの高級三脚で知られるLibecですが、TH-Xはミラーレスカメラ用や小型ハンドヘルドカメラ向けの三脚です。エントリー機ですね。
THシリーズはTH-X(マイナーな65mmハーフボール)、TH-Z(一般的な75mmハーフボール)、TH-V(可変ドラッグシステムを搭載)とありますが、単体での使用ならTH-Xが一番コンパクトで安価なのでお勧めです。ミッドスプレッダー付きで安定感がありますし、レベリングベースよりもハーフボールの方が使いやすさはずっと上です。セットアップが楽で、雲台もこの価格帯では一番使いやすいと思います。
Libecの強み: セットアップが速い、この価格帯では突出してパンがスムーズ、安価。ハイアングルとローアングルが苦手という以外に買わない理由があまりない三脚です。
Libecの弱み: 耐荷重4kgなので、ミラーレス一眼タイプのカメラに明るいレンズやVマウントバッテリーを装着すると重量オーバーです。ローアングル撮影には不向きで、高さもあまりありません。比較的軽量ですが、動画用三脚で一般的なパイプが2重になっている三脚なのでとにかくかさばります。電車移動で2本持って行くことはまず無理です。
比較3:SLIK シネママスター 274
SLIK(スリック)の動画用三脚「シネママスター 274」は、かつての名機 DAIWA VT-551II の精神的後継機として、2023年に発売された比較的新しいモデルです。製造はスリック株式会社(ケンコー・トキナーグループ)。
この三脚の最大の武器は、1,980gというシステム総重量 です。雲台込みで2kgを切る軽さは、今回の比較5製品の中で最軽量です。脚にAMT合金パイプ(アルミ・マグネシウム・チタン合金)を採用し、雲台にグラスファイバー入り樹脂を使用することで、この驚異的な軽さを実現しているとのこと。
クイックシューは アルカスイス互換 。今回比較した5製品の中で、唯一アルカスイス規格に対応しています。普段は写真を撮るのがメインという方ならプレートが大きなマンフロット互換タイプよりも使いやすいかもしれません。
雲台はスプリングバランスとオイルフリュード機構のハイブリッドで、パン・チルトともにオイルの粘性による滑らかな動作を実現しているとのこと。
SLIKの強み: 圧倒的な軽さ(1,980g)、アルカスイス互換クイックシュー、オイルフリュードの操作感、60mmボールレベラーによる水平出し、そしてDAIWAの遺伝子を継ぐ「日本の動画三脚の正統」という系譜。
SLIKの弱み: 耐荷重が3kgと、今回の比較中もっとも低いです。
比較4:Benro A2573FS6PRO
中華三脚の比較対象として、Benro(百諾) を選びました。Benroは1996年に中国・広東省中山市で設立され、2002年から自社ブランドの三脚を展開しています。OEM出身のVanguardと出自が近いといえますが、Benroは中国本土生まれの「正真正銘の中華ブランド」です。別の記事「Vanguardの歴史と現在」でも触れたように、VanguardとBenroは製造拠点が同じ広東省珠江デルタ経済圏に位置しますが、ブランドの成り立ちが異なります。
A2573FS6PROは、Benroのアルミニウムビデオ三脚にS6PROフルードヘッドを組み合わせたキットです。
S6PROの注目すべき点は、5+0段階のカウンターバランス調整 と 連続可変のパン・チルトドラグ を搭載している点です。比較的手頃な価格でこの機能セットは驚くべきものがあります。VEO PV-20のスプリング式固定カウンターバランスやパンドラグ非搭載と比較すると、雲台の機能性では Benroが圧倒的に上 です。
Benroの強み: 5+0段階カウンターバランス、連続可変パン・チルトドラグ、65mmフラットベースの汎用性、そして約35,000〜45,000円という価格。「中華三脚」と侮れない、プロユースに耐える機能スペック。
Benroの弱み: 縮長も約820mmと長いです。カーボンモデルも別途存在しますが、価格は上がります。また、BenroのQRプレートはManfrottoの504PLONGと互換性があるものの、アルカスイス互換ではありません。

まとめ
Vanguard ALTA PRO 3VL 304CTは、レベリングベース内蔵・カーボンファイバー・1,430gという三拍子が揃った、携帯性と安定性を高次元で両立させた三脚 です。脚の剛性はあるのにコンパクトというとても魅力的な三脚だと思います。また、VEO PV-20は、軽量・低価格・シンプルな操作性で初心者にも扱いやすいビデオ雲台です。3VL 304CTに限りませんが、Vanguardの三脚はデザインがかっこ良いものも多いのでお勧めです。
典拠一覧
本記事の執筆にあたり、以下の情報源を参照した。
- Vanguard World UK — “Alta Pro 3VL 304CT” 製品ページ https://www.vanguardworld.co.uk/products/alta-pro-3vl-304ct
- Vanguard USA — “VEO PV-20 Video Head Camera Mount for Tripods” 製品ページ https://www.vanguardworld.com/products/veo-pv-20-pan-head-video-camera-mount
- Digital Camera World — “Vanguard Alta Pro 3VL 304CT review” Matthew Richards著 https://www.digitalcameraworld.com/cameras/tripods/vanguard-alta-pro-3vl-304ct-review
- The Society of Photographers — “ALTA PRO 3VL 304CT Levelling Carbon Tripod”(2025年1月30日) https://thesocieties.net/blog/2025/01/30/alta-pro-3vl-304ct-levelling-carbon-tripod/
- Vanguard World UK — “ALTA PRO 3VL 304CT Levelling Carbon Tripod”(公式ブログ、2025年2月12日) https://www.vanguardworld.co.uk/blogs/co-uk/alta-pro-3vl-304ct-levelling-carbon-tripod
- B&H Photo — “Vanguard VEO PV-20 Aluminum Fluid Video Head” 製品ページ https://www.bhphotovideo.com/c/product/1754953-REG/vanguard_veo_pv_20_aluminum_video_pan_head.html
- Manfrotto — “502 Fluid video Head with flat base – MVH502AH” 公式ページ https://www.manfrotto.com/global-en/502-fluid-video-head-with-flat-base-mvh502ah/
- Manfrotto Canada — “502 Fluid Video Head Flat Base & 055 Video Carbon Fibre Tripod” 製品ページ https://www.manfrotto.com/ca-en/502-fluid-video-head-flat-base-with-055-video-carbon-fibre-tripod-mvk502055cxprov/
- Libec — “TH-X” 公式製品ページ https://www.libec-global.com/products/th-x/TH-X.html
- B&H Photo — “Libec TH-X Head and Tripod System” 製品ページ https://www.bhphotovideo.com/c/product/1302696-REG/libec_th_x_head_th_x_tripod.html
- KitPlus — “Libec TH-X Tripod review” https://kitplus.com/articles/libec-th-x-tripod-review/1592
- デジカメ Watch — 「ボールレベラー搭載・2kgを切る動画向け三脚『SLIK シネママスター274』」(2023年5月15日) https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1500467.html
- PRONEWS — 「DAIWAの名ビデオ三脚VT-551IIの後継機種『SLIK シネママスター274』」渡辺健一著(2023年5月12日) https://jp.pronews.com/review/kenichi-watanabe/202305121046400514.html
- ケンコー・トキナー — 「SLIK シネママスター274」プレスリリース(2023年5月12日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001242.000008859.html
- Amazon.co.jp — 「SLIK 動画用三脚 シネママスター 274」製品ページ https://www.amazon.co.jp/dp/B0C4NX5QBX
- B&H Photo — “Benro A2573F Aluminum Single Tube Tripod with S6Pro Fluid Video Head” 製品ページ https://www.bhphotovideo.com/c/product/1512629-REG/benro_a2573fs6pro_a2573f_aluminium_tripod_with.html
- Benro USA — “A2573F Aluminium Video Tripod with S6 PRO” 製品ページ https://benrousa.com/a2573f-aluminium-video-tripod-with-s6-pro-flat-base-fluid-video-head/
- Vanguard USA — “About Vanguard” 公式ページ https://www.vanguardworld.com/pages/about-vanguard
- Amazon.co.jp — 「Vanguard VEO PV-20 ビデオパンヘッド」製品ページ
- 楽天市場 Vanguard公式ショップ — 「VEO PV-20 ビデオ雲台」






