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サムヤン(SAMYANG)・ロキノン(Rokinon)とは何か | サムヤン(SAMYANG Optics)——韓国が生んだレンズメーカーの半世紀と、その先(1)

レンズ
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サムヤン(SAMYANG Optics)——韓国が生んだレンズメーカーの半世紀と、その先

画像はGoogle Geminiにより作成されたイメージです。

カメラ量販店の棚で「Samyang」のロゴを見たことがある人は多いだろう。一方で「Rokinon」というブランドを知っている人は、海外のレビューサイトやYouTubeをよく見る層に限られるかもしれない。実はこの2つ、まったく同じレンズである。


サムヤンオプティクスという会社

LKサムヤン(LK SAMYANG Co., Ltd.)は、韓国・慶尚南道昌原市馬山会原区(마산회원구)に本社を置く光学機器メーカーである。2024年3月28日に「サムヤンオプティクス(Samyang Optics Co., Ltd.)」から現社名へと変更された。「LK」は”Leading Korea”の略で、親会社であるLKグループの名を冠している。

従業員数はおよそ130名。キヤノン、ニコン、ソニー、富士フイルム、ライカといった主要カメラシステム向けの交換レンズを設計・製造し、世界58カ国に39の海外代理店・ディストリビューターを通じて輸出している。売上の90%以上を海外市場が占めるため、国内よりもむしろ海外での知名度が高い。

韓国のカメラコミュニティでは、その価格に対する描写性能の高さから「サムジャイス(삼자이스 = サムヤン + カール・ツァイス)」という愛称で呼ばれることもある。韓国経済新聞(2024年)の具本旭CEO(当時)インタビューでも「삼자이스」の呼称が取り上げられており、「価格は安いがヨーロッパ製品に匹敵する技術力がある」という意味を込めたものだとされている。


多すぎるブランド名——ロキノン、バウアー、ワリメックスの正体

サムヤンの製品は、地域や販売代理店に応じてさまざまなブランド名で販売されてきた。主なブランド名を整理すると以下の通りである。

ブランド名主な販売地域備考
Samyang韓国、日本、アジア自社ブランド。日本では2016年5月まで新東京物産が代理店を務め、同月以降はケンコー・トキナーが販売代理店権を引き継ぎ、現在も継続中
Rokinon北米・中南米Elite Brands Inc.(EBI)が独占販売。元々は別の会社の商標だったが、2002年に商標が放棄された後、サムヤン製品に使用
Bower北米一部の小売チャネル向け
Walimex / Walimex Proドイツ・ヨーロッパドイツのFoto Walser社が販売
Opteka北米主にオンライン販売チャネル
Vivitar北米かつて独自レンズで知られたブランド名をライセンス使用
Quantaray北米カメラ小売チェーン向けのプライベートブランド
Phoenix北米一部販売チャネル向け

いずれのブランドで購入しても、光学設計・製造元はすべてサムヤンである。レンズ鏡筒に刻まれたブランドロゴが異なるだけで、光学性能や構造は同一だ。この多ブランド戦略は、各地域の販売代理店の流通網を最大限に活用するための方策であり、かつてのOEM(相手先ブランド製造)事業の延長線上にある。

ただし、この「同じレンズが複数のブランド名で売られる」という状況は消費者に混乱をもたらしてきたのも事実だ。特に北米では、AmazonやB&Hで「Samyang」「Rokinon」の両方で同じレンズが異なる価格で出品されていることがあり、レビュワーたちも度々この点を注意喚起している。

SAMYANG サムヤン
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ロキノン(Rokinon)の名前の由来

「Rokinon」の名前には少し複雑な経緯がある。

もともと「Rokinon」は、ニュージャージー州のRokina International社が1980年頃から約20年間にわたり、安価な35mmフィルムカメラや110フィルムカメラ、アクセサリー類に使用していたブランド名であった。また1980年代には日本のレンズメーカーが製造したSLR用レンズにも「Rokinon」ブランドが使われていた(これらもRokina Internationalによる輸入品であった)。

2002年頃にRokina International社が「Rokinon」の商標を放棄した後、北米におけるサムヤンの独占代理店であるElite Brands Inc.(EBI)がこの商標を取得。以降、サムヤン製の韓国製レンズに「Rokinon」のブランド名を冠して販売するようになった。つまり、1980〜90年代の「Rokinon」と現在の「Rokinon」は製造元も品質もまったく別物であるということだ。

なお、EBIは「ロキノン」のほか、「MINOLTA」「COLEMAN」「BELL and HOWELL」といった歴史あるブランド名のライセンスも保有しており、レンズ、光学機器、デジタルカメラ、電子機器など多岐にわたる製品カテゴリーで事業を展開している。


XEENとV-AF——映像制作者向けブランド

サムヤンはスチル写真用レンズだけでなく、映像制作向けのシネレンズも展開している。

XEEN(ジーン)

2015年に立ち上げられたプロフェッショナル・シネレンズブランド。統一された鏡筒サイズ、ギア付きフォーカスリング、デクリック絞りなど、映像制作現場で求められる仕様を備える。XEEN CFシリーズは鏡筒の一部にカーボンファイバーを採用した世界初のフルフレームシネレンズであり、軽量化と堅牢性を両立。さらにXEEN Meisterシリーズは最上位ラインとして位置づけられている。

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V-AFシリーズ

2022年に登場した、コンパクトなAFシネレンズシリーズ。ソニーFEマウント対応で、20mm、24mm、35mm、45mm、75mm(いずれもT1.9)、100mm(T2.3)の全6本をラインナップする。特筆すべきは、1.7xアナモルフィックMFアダプターの存在で、V-AFレンズと組み合わせることでアナモルフィック撮影が可能になる。

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Remaster Slim——モジュラーレンズという実験

2024年に発売されたRemaster Slimは、サムヤンとしては異色の製品だ。本体は共通のベースユニットで、RS 21mm F3.5、RS 28mm F3.5、RS 32mm F2.8の3種類の光学モジュールを交換して使用する。クリエイター向けのコンパクトなシステムとして提案されており、サムヤンが単なるレンズメーカーにとどまらず、新しい撮影体験を模索している姿勢がうかがえる。

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シュナイダー・クロイツナッハとの提携——新たな章の幕開け

2024年以降、サムヤンの歴史において最も注目すべき動きのひとつが、ドイツの老舗光学メーカー・シュナイダー・クロイツナッハ(Schneider-Kreuznach)との戦略的パートナーシップである。

シュナイダー・クロイツナッハは1913年創業で、コダック、ローライフレックス、ハッセルブラッドなど数々の名門カメラメーカーにレンズを供給してきた歴史を持つ。この提携において、役割分担は以下のようになっている。

  • LKサムヤン: 製品開発、製造、品質保証、マーケティング、販売、カスタマーサービス
  • シュナイダー・クロイツナッハ: 光学設計レビュー、計測分析、製品のファインチューニング、評価・テスト

両社の最初の共同開発製品は、2025年4月に発売されたAF 14-24mm F2.8 FE。これは「世界初のフロントフィルター対応14-24mm超広角ズームレンズ(ソニーEマウント用)」を謳い、大きな話題を呼んだ。続いて2025年9月のIBC 2025ではAF 24-60mm F2.8 FEが発表され、2026年のCP+ではAF 60-180mm F2.8 FEの試作品が展示されるなど、共同開発のペースは加速している。

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韓国の130人規模のレンズメーカーとドイツの100年超の歴史を持つ光学名門。この組み合わせは、サムヤンが「安くてそこそこ良いレンズ」というイメージから脱却し、光学性能で本格的に勝負する覚悟を示すものだと言えるだろう。


L-Mount Allianceへの加盟

2023年7月、サムヤンはLマウントアライアンスへの加盟を発表した。ライカ、パナソニック、シグマが創設したこのアライアンスに参加したことで、サムヤンはソニーEマウント以外の主要ミラーレスシステムにも本格的に展開する足がかりを得た。AF 35-150mm F2-2.8 Lなど、Lマウント用のAFレンズもすでにラインナップされている。


サムヤン(SAMYANG Optics)——韓国が生んだレンズメーカーの半世紀と、その先

ガイドページ

  1. サムヤン(SAMYANG)・ロキノン(Rokinon)とは何か
  2. デジタル一眼レフ以前のサムヤン——OEMとミラーレンズの時代(1972〜2007)
  3. デジタル一眼レフ時代のサムヤン——高品質MFレンズへの転身(2008〜2015)
  4. ミラーレス時代のサムヤンとAFレンズへの参入(2016〜現在)
  5. 中華レンズとの競合——サムヤンが切り拓いた道と新たな挑戦者たち
  6. 欧米市場におけるサムヤンのプレゼンス——ロキノン、バウアー、そしてLKサムヤンへ
  7. なぜ韓国にはカメラ関連企業が少ないのか

典拠

  1. LK Samyang 公式ウェブサイト — History(https://www.lksamyang.com/en/about/history.php)
  2. Wikipedia — “LK Samyang”(https://en.wikipedia.org/wiki/LK_Samyang)
  3. NamuWiki — “LK삼양”(https://en.namu.wiki/w/LK삼양)
  4. Camera-wiki.org — “Samyang”(https://camera-wiki.org/wiki/Samyang)
  5. Camera-wiki.org — “Rokinon”(https://camera-wiki.org/wiki/Rokinon)
  6. Rokinon.com — “About Us”(https://rokinon.com/pages/about-us)
  7. Elite Brands Inc. — “Rokinon”(https://www.elitebrands.com/rokinon)
  8. Schneider-Kreuznach 公式 — “Schneider-Kreuznach x LK Samyang”(https://schneiderkreuznach.com/en/photo-optics/lenses/schneider-kreuznach-x-lk-samyang)
  9. Schneider-Kreuznach — “Collaboration with LK Samyang”(https://schneiderkreuznach.com/en/company/news/newsroom/collaboration-schneider-kreuznach-samyang)
  10. LK Samyang プレスリリース — AF 14-24mm F2.8 FE(https://www.lksamyang.com/en/about/notice-view.php?seq=1773)
  11. PetaPixel — “First Look at the Schneider-Kreuznach x Samyang 60-180mm f/2.8 Lens”(https://petapixel.com/2026/02/27/first-look-at-the-schneider-kreuznach-x-samyang-60-180mm-f-2-8-lens/)
  12. DPReview — “Sony E mount gains fast standard zoom option”(https://www.dpreview.com/news/2031694064/samyang-schneider-kreuznach-24-60mm-f2-8)
  13. MFlenses.com Forum — “Rokina vs. Rokinon – Past vs. Present”(https://forum.mflenses.com/rokina-vs-rokinon-past-vs-present-t56896.html)
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