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中華レンズとの競合——サムヤンが切り拓いた道と新たな挑戦者たち | サムヤン(SAMYANG Optics)——韓国が生んだレンズメーカーの半世紀と、その先(5)

レンズ
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サムヤン(SAMYANG Optics)——韓国が生んだレンズメーカーの半世紀と、その先

サムヤンが2008年に85mm F1.4で切り拓いた「低価格・高品質サードパーティレンズ」の道。しかし2020年代、その道を追いかけてくる者たちが現れた。中国・深圳(シェンジェン)を拠点とするレンズメーカーたちである。


サムヤンが拓いた道

PetaPixelのレンズブランドガイドは、サムヤンの功績を以下のように記している。

「まず、サムヤンの貢献に触れなければならない。サムヤンはおそらく最もよく知られたアジアのメーカーだが、韓国企業であり中国企業ではない。サムヤンは他のアジアのサードパーティレンズブランドの道を拓いた。なぜなら、以下に挙げるメーカーたちはサムヤンの成功を模倣しようとしているからだ」

「1972年に設立されたサムヤンは、光学部品の製造において長い歴史を持つが、低価格レンズの製造はより最近の取り組みである。すべてのサードパーティメーカーの出発点は、低コスト・低リスクでの市場参入である。これを達成する最も簡単な方法は、シンプルな光学式でマニュアルフォーカスの単焦点レンズを製造し始めることだ。IP(知的財産)フリーの設計は容易に入手でき、比較的シンプルな製造・組立で済む」

サムヤンが2008年から実践したこの戦略——MF単焦点レンズで市場参入し、ブランドを確立してからAFレンズや高価格帯に進出する——は、後続の中国メーカーにとってのロードマップとなった。


主要な中国レンズメーカーたち

2010年代後半から急速に台頭した中国レンズメーカーの主なプレイヤーを紹介する。

ビルトロックス(Viltrox)——最大の脅威

  • 設立: 2009年(中国・深圳)
  • 特徴: マウントアダプター・テレコンバーターからスタートし、レンズに参入。AF技術の開発に早くから注力
  • 主なマウント: ソニーE、ニコンZ、富士フイルムX、ライカL、マイクロフォーサーズ
  • 代表製品: AF 85mm F1.8、AF 56mm F1.4、AF 75mm F1.2 XF、AF 135mm F1.8 LAB

ビルトロックスは、中国メーカーの中でサムヤンにとって最も直接的な競合相手と言える。マウントアダプターの開発で培った電子通信技術を活かし、中国メーカーとしていち早くAFレンズの量産に成功した。

特に2024年のAF 135mm F1.8 LABは、レビューサイトDustinAbbott.netが同スペックのサムヤンAF 135mm F1.8 FEとの比較テストを行い、「ビルトロックスは上質なビルドクオリティ、優れた機能、そしてより良い光学性能を備えている。サムヤンの唯一の優位性は、はるかに軽量であることとわずかに安価であること」と評している。

<!– 🔗 アフィリエイト挿入推奨箇所: Viltrox AF 135mm F1.8 LAB / Samyang AF 135mm F1.8 FE 比較 –>

ラオワ(Laowa / Venus Optics)——ニッチの革新者

  • 設立: 2013年(中国・合肥〈安徽省〉。香港に営業拠点)
  • 特徴: MF専業。マクロプローブレンズ、超広角零歪曲レンズ、ティルトシフトレンズなど、ユニークな製品に特化
  • 主なマウント: ほぼ全マウント対応
  • 代表製品: 24mm F14 2x Macro Probe、9mm F5.6 FF RL

ラオワは、大手メーカーが手を出さないニッチな焦点距離やスペックに特化することで差別化を図っている。サムヤンとの直接的な競合は少ないが、「サードパーティメーカーの多様性」を広げた点で注目に値する。

銘匠光学(TTArtisan)——急成長の新参者

  • 設立: 2019年
  • 特徴: ライカMマウント互換レンズから出発。急速にAFレンズにも進出
  • 主なマウント: ソニーE、ニコンZ、富士フイルムX、ライカM・L、ハッセルブラッドXCD
  • 代表製品: AF 35mm F1.8、AF 75mm F2.0

TTArtisanは、7artisansの共同創業者の一人が独立して立ち上げたブランドである。2019年設立と後発ながら、急速に製品ラインナップを拡大している。AFレンズもサムヤンと同じ焦点距離帯に投入しており、価格競争力で攻めている。

七工匠(7artisans)

  • 設立: 2015年
  • 特徴: 非常に安価なMFレンズを多数展開。50mm F0.95のような大口径製品も
  • 主なマウント: ほぼ全マウント対応

メイケ(Meike)

  • 設立: 1997年(レンズ参入は2017年頃)
  • 特徴: カメラアクセサリーメーカーとして出発。シネレンズに注力

永諾(Yongnuo)

  • 設立: 2006年(レンズ参入は2014年)
  • 特徴: ストロボ・トリガーで有名。キヤノンEF 50mm F1.8のクローンレンズで話題に

深圳——なぜ中国からレンズメーカーが次々と生まれるのか

上記のメーカーの多くが中国・深圳(シェンジェン)を拠点としていることは偶然ではない。

深圳は「中国のシリコンバレー」とも呼ばれるハイテク都市で、スマートフォンを中心とする電子機器の製造拠点として急速に発展した。スマートフォンカメラ用レンズモジュールの大量生産によって、光学部品のサプライチェーンと製造ノウハウが深圳およびその周辺に集積している。

PetaPixelは、中国メーカーが次々と生まれる背景をこう分析している。

「これは間違いなく複数の要因が重なった結果だ。中国がグローバルな生産チェーンの一部として開放されたこと——特に2000年以降のテクノロジー製品の製造増加——に関連している。これはデジタルカメラおよびスマートフォン製造のブームと同時に起こり、中国の生産ラインとスタッフの能力(capacity and capability)を引き上げた」

つまり、スマートフォンカメラの大量生産が、交換レンズ用の光学部品や精密加工技術のコモディティ化をもたらし、それがミラーレスカメラ用の交換レンズ製造への参入障壁を下げたのである。


サムヤン vs. 中国メーカー——競争の構図

サムヤンと中国メーカーの競争は、いくつかの軸で整理できる。

1. 価格競争

中国メーカーの最大の武器は価格である。TTArtisan AF 75mm F2.0は約178ドル、Meike 85mm F1.8は約200ドルと、同スペックのサムヤン製品の半額以下で提供されることも珍しくない。

サムヤンのレンズは、中国製品と比べると「やや高い」が、ソニーやシグマといった上位メーカーと比べれば「かなり安い」という中間的なポジションにある。

2. AF性能

AFレンズにおいては、サムヤンはビルトロックスとの競争が激化している。両社ともソニーFEマウントを主戦場とし、似たスペックのレンズを展開している。2024〜2025年時点では、ビルトロックスの最新モデル(LABシリーズ)がサムヤンに迫り、一部の焦点距離では逆転している。

3. ブランド信頼性と品質管理

PetaPixelは中国製サードパーティレンズのリスクとして「品質管理のばらつき」を指摘している。

「小規模なレンズメーカーは、大手ブランドよりも品質管理基準が低い可能性がある。コピー間の品質のばらつき、ピント精度の問題、互換性の不足、そして特に非常に安価なサードパーティレンズにおいてはビルドクオリティやイメージクオリティの問題がより多く見られる可能性がある」

この点で、50年以上の歴史を持つサムヤンには一日の長がある。特に2013年以降の品質管理体制の強化、2016年の新工場建設、ISO認証の取得などは、中国メーカーとの差別化要因となっている。

4. マウント戦略

キヤノンがサードパーティメーカーに対してRFマウントの使用を制限する姿勢を見せている中(PetaPixelは、キヤノンがビルトロックスにRFマウントレンズの販売停止を求めたと報じている)、サムヤンはキヤノンRFマウント向けにAF 85mm F1.4 RF、AF 14mm F2.8 RF、AF 12mm F2 RF-Sなどを展開している。サムヤンもビルトロックスと同様にRFマウントのプロトコルをリバースエンジニアリングで参入したとされ、キヤノンからの圧力を受けた経緯がある。それでもなお、ビルトロックスがRFマウントから撤退した一方でサムヤンのRFレンズは現在も販売が継続しており、何らかの形でキヤノンとの関係を構築できている可能性がある。これは、中国メーカーに対する一定の優位性と言える。


シュナイダー・クロイツナッハとの提携——中国メーカーに対する差別化

2024年以降のシュナイダー・クロイツナッハとの提携は、中国メーカーとの差別化という文脈でも重要な意味を持つ。

ドイツの老舗光学メーカーの「お墨付き」を得ることで、サムヤンは品質と信頼性において中国メーカーとは異なるレベルにあることをアピールできる。これは、純正レンズには手が届かないが、中国製レンズの品質には不安を感じるという層——まさにサムヤンのコアターゲット——に対する強力なメッセージとなる。


サムヤンの生存戦略——「安さ」から「バリュー」へ

中国メーカーとの競争の中で、サムヤンが生き残るための戦略は明確だ。

  1. 価格競争から逃げる: 中国メーカーと同じ土俵で価格を下げ続けるのではなく、シュナイダー・クロイツナッハとの提携やPrimaシリーズなどで「品質とブランド価値」を上げる方向に舵を切る
  2. ズームレンズへの展開: 中国メーカーの多くがまだMF単焦点中心であるのに対し、サムヤンは大口径AFズーム(14-24mm、24-60mm、35-150mm、60-180mm)で差別化
  3. シネレンズの強化: XEENブランドとV-AFシリーズで、中国メーカーの多くがまだ弱い映像制作市場でのプレゼンスを維持
  4. マルチマウント展開: ソニーE、ライカL、キヤノンRF、富士フイルムXと、複数のマウントシステムにAFレンズを展開

これは、かつてタムロンやシグマが「安いサードパーティ」から「品質で勝負するサードパーティ」へと変革したのと同じ道筋である。サムヤンもまた、同じ進化の途上にある。


サムヤン(SAMYANG Optics)——韓国が生んだレンズメーカーの半世紀と、その先

ガイドページ

  1. サムヤン(SAMYANG)・ロキノン(Rokinon)とは何か
  2. デジタル一眼レフ以前のサムヤン——OEMとミラーレンズの時代(1972〜2007)
  3. デジタル一眼レフ時代のサムヤン——高品質MFレンズへの転身(2008〜2015)
  4. ミラーレス時代のサムヤンとAFレンズへの参入(2016〜現在)
  5. 中華レンズとの競合——サムヤンが切り拓いた道と新たな挑戦者たち
  6. 欧米市場におけるサムヤンのプレゼンス——ロキノン、バウアー、そしてLKサムヤンへ
  7. なぜ韓国にはカメラ関連企業が少ないのか

関連記事


典拠

  1. PetaPixel — “A Guide to Third-Party Chinese Lens Brands”(https://petapixel.com/chinese-lens-brands/)
  2. DustinAbbott.net — “Viltrox LAB vs Samyang AF – 135mm Battle!”(https://dustinabbott.net/2024/11/viltrox-lab-vs-samyang-af-135mm-battle/)
  3. phillipreeve.net — “The Best Fullframe Lenses from China”(https://phillipreeve.net/blog/the-best-fullframe-lenses-from-china/)
  4. DPReview Forums — “Samyang 85mm 1.4 II vs Viltrox 85mm 1.8 II vs Viltrox 85mm 1.4 Pro”(https://www.dpreview.com/forums/threads/samyang-85mm-1-4-ii-vs-viltrox-85mm-1-8-ii-vs-viltrox-85mm-1-4-pro.4816114/)
  5. Reddit r/Nikon — “What do you think of Viltrox and Samyang?”(https://www.reddit.com/r/Nikon/comments/1k72mol/what_do_you_think_of_viltrox_and_samyang/)
  6. The Phoblographer — “Some of the Best Lenses Aren’t Made in Japan Anymore”(https://www.thephoblographer.com/2022/06/17/opinion-some-of-the-best-lenses-arent-made-in-japan-anymore/)
  7. Camera-wiki.org — “Samyang”(https://camera-wiki.org/wiki/Samyang)
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