マイクロフォーサーズと映像表現の歴史—19.25mmのフランジバックが映像産業にもたらしたもの

映画のために作られたレンズが、たった一つのマウントに集まってきた——これは、マイクロフォーサーズが意図して引き起こした現象ではない。BMPCCとGH4が作り出した需要に、世界中のレンズメーカーが応えた結果である。そしてその「世界中のレンズメーカー」の大半は、中国・深圳にいた。なぜか。それを解き明かすのが本章のテーマである。
4-1. シネマレンズとは何か——「写真用レンズ」との決定的な違い
なぜ写真用レンズでは駄目なのか
本章を読む前に、「シネマレンズ」と「写真用レンズ」の違いを明確にしておきたい。映像のプロにとっては自明のことだが、「カメラは触るけどレンズの分類には詳しくない」という読者も本連載の対象である以上、省略するわけにはいかない。
写真用レンズは、基本的にAF(オートフォーカス)で使うことが前提である。絞りはクリックストップ(段階的に止まる)で、明るさはF値(理論上の透過光量)で表記する。フォーカスリングの回転角度は小さく、素早くAFで合焦できることが重視される。
一方、シネマレンズはまったく別の設計思想で作られている。
シネマレンズの主な特徴
- T値表記:F値ではなくT値(Transmission値)で明るさを表記する。T値はレンズ内部の実際の光の透過率を加味した数値で、複数のレンズ間で露出を揃える際に不可欠である
- ステップレスアイリス:絞りリングがクリックなしで無段階に動く。撮影中に絞りを滑らかに変化させることができる
- ギア付きフォーカス/アイリスリング:フォローフォーカス装置やリモートフォローフォーカスで精密に操作するため、0.8MOD(Module 0.8)規格のギアが標準装備されている
- ロングフォーカススロー:フォーカスリングの回転角度が大きく(典型的には180°〜300°)、微妙なピント調整が可能
- 統一された前玉径:セット内のすべてのレンズで前玉径(またはフィルター径)を揃え、マットボックスやNDフィルターの運用を効率化する
- フォーカスブリージングの抑制:フォーカスを合わせたときに画角が変わる現象(ブリージング)が最小限に抑えられている
- 全金属筐体:堅牢で、温度変化による精度の狂いが少ない </aside>
これらの特徴を持つレンズは、従来はPLマウント(ArriflexやPanavisionのシネマカメラ用、フランジバック52mm)で提供されるのが常識だった。Carl Zeiss、ARRI、Cooke、Angénieux、Panavision——これらの名門が作るシネマレンズは、一本数千ドルから数万ドル。プライムレンズセット(5〜7本)で数十万ドルに達することも珍しくない。レンタルで使うのが当たり前の世界である。
MFTマウントのシネマレンズという新カテゴリー
BMPCCとGH4の時代、このシネマレンズの世界に、全く新しい動きが生まれた。MFTマウントのシネマレンズという、それまで存在しなかったカテゴリーである。
なぜMFTだったのか。理由は明確だ。
- フランジバック19.25mm——PLマウント(52mm)やEFマウント(44mm)と比較して圧倒的に短い。これはレンズの光学設計に自由度を与え、小型軽量なシネマレンズの設計を可能にする
- 小さなイメージサークル——17.3×13mm(対角21.6mm)のセンサーをカバーすればよいため、フルサイズ対応レンズと比較してレンズエレメントを小さくでき、コストを抑えられる
- オープン規格——ライセンス料を支払う必要がなく、誰でもマウント仕様にアクセスできる
- 既存のエコシステム——BMPCC、GH4、AG-AF100という、映像制作で実績のあるカメラボディが存在した
この4つの条件が揃ったマウントは、2014年時点ではMFT以外に存在しなかった。ソニーEマウントもフランジバックは18mmと短かったが、当時はまだ仕様公開が限定的で、シネマカメラへの採用例も少なかった。MFTは、シネマレンズメーカーにとって最も参入障壁が低いマウントだったのである。
4-2. 先駆者たち——SLR MagicとVeydra
SLR Magic:MFTシネレンズの扉を開いた香港のメーカー
MFTマウント向けに「シネマ仕様」のレンズを最初に展開したメーカーの一つが、香港のSLR Magicである。
SLR Magicは2007年頃に設立された小規模なレンズメーカーで、初期にはマイクロフォーサーズ向けの大口径MFレンズ(HyperPrimeシリーズ)を展開していた。だが、BMPCCとGHシリーズの普及を受けて、同社はより本格的なシネマ仕様のレンズへと舵を切る。
2012年のPhotokina——ちょうどBlackmagic Cinema Camera(BMCC)が発表された年——で、SLR MagicはCINE 35mm T1.4を含むプロトタイプレンズを4本発表した。T値表記、ステップレスアイリス、ギア付きリング——シネマレンズの基本要件を満たしつつ、MFTマウントで提供された。注目すべきは、同社が「Black Magic Cinema Camera mFT mount」対応をスペックに明記していたことだ。BMDのカメラが登場したその年に、早くも専用レンズを開発し始めていたのである。
その後、SLR MagicはMicroPrime CINEシリーズを展開する。MFTマウント向けには10mmから50mmまでの6焦点距離(10mm T2.1、17mm T1.5、21mm T1.6、25mm T1.5、35mm T1.5、50mm T1.4)をラインナップし、統一された85mm前玉径、82mmフィルタースレッド、内部フォーカス機構(フォーカス時に前玉が回転しない)を備えた。価格は1本あたり300〜600ドル程度。PLマウントのシネマレンズが一本数千ドルする世界において、これは破格の価格だった。
ただし、SLR Magicのレンズは光学性能にムラがあった。個体差が大きい、コーティングの均一性に難があるといった声もあった。それでも、「MFTマウントのシネマレンズ」というカテゴリーを実質的に切り拓いた功績は大きい。
2015年には、2×および1.33×のアナモルフィックシネレンズセットも発表している。アナモルフィックレンズとは、水平方向に光を圧縮して記録し、ポストプロダクションで引き伸ばすことでシネマスコープ(ワイドスクリーン)のアスペクト比を実現するレンズである。従来、アナモルフィックレンズはPanavisionやARRIなどが製造する極めて高価な製品だったが、SLR MagicはMFTマウントでこれを手が届く価格で実現しようとした。この試みは、後にSIRUI、Laowa、BLAZARらの「低価格アナモルフィック革命」へと繋がっていく。
近年、SLR Magicの製品展開は縮小傾向にある。だが、MFTシネレンズという市場の扉を開けた先駆者としての役割は、歴史に刻まれるべきである。
Veydra:「MFT専用シネプライム」の夢と挫折
MFTシネマレンズの歴史を語る上で、**Veydra(ヴェイドラ)**の存在を避けて通ることはできない。
Veydraは2014年、アメリカ・カリフォルニア州で設立された。レンズ業界の著名なリハウス技術者であるMatthew Duclosがデザインコンサルタントとして参画したこのプロジェクトの目標は明確だった——マイクロフォーサーズ専用設計のシネマプライムレンズを作ること。
Duclos自身がブログ「The Cine Lens」で記しているように、VeydraのMini Primeシリーズは「Micro 4/3プラットフォームのためにゼロから設計された、初めてのシネマレンズ」だった。
「BlackmagicやPanasonic GH4をプロの環境で使っていて、アダプターをいじる時間もヴィンテージレンズの修理のためのダウンタイムもないとしたら? Veydra Mini Primeは、他の誰も埋めていないそのギャップを埋めようとしている」
——Matthew Duclos, The Cine Lens, 2014年11月
Mini Primeシリーズのラインナップは以下の通り:
| 焦点距離 | 明るさ | フィルター径 | 設計 |
|---|---|---|---|
| 12mm | T2.2 | 77mm | MFT専用 |
| 16mm | T2.2 | 77mm | MFT専用 |
| 25mm | T2.2 | 77mm | MFT専用 |
| 35mm | T2.2 | 77mm | MFT専用 |
| 50mm | T2.2 | 77mm | MFT専用 |
| 85mm | T2.2 | 77mm | MFT専用 |
全レンズがT2.2で統一され、フィルター径77mmも揃えられていた。これは運用の現場では非常に重要だ。レンズ交換のたびにNDフィルターやマットボックスの設定を変える必要がないということは、撮影現場の時間節約に直結する。
VeydraのMini Primeは、光学性能でも高い評価を得た。MFT専用設計であるため、イメージサークルに無駄がなく、小型軽量でありながらシャープな描写を実現した。価格は1本約800〜900ドル。6本セットで約4,500〜5,000ドル程度。PLマウントのシネプライムセットが数万ドルすることを考えれば、破格に安かった。
Veydraの死——「RIP Veydra: 2014-2019」
だが、Veydraの物語は悲劇的な結末を迎える。2019年頃、Veydraは事業を停止した。
Duclosが「The Cine Lens」ブログに記した追悼記事のタイトルは「RIP Veydra: 2014-2019」。「野心的なアイデアと大きな可能性を持ったスタートアップレンズカンパニーが、あまりにも早くその最期を迎えた」と彼は書いている。
消滅の理由は複合的だが、最大の要因は価格競争だったと推測される。Veydraが切り拓いた「低価格MFTシネプライム」という市場に、中国メーカーがさらに低い価格で参入してきたのである。アメリカで設計し、サードパーティに製造委託するビジネスモデルでは、深圳の製造エコシステムに直接アクセスできる中国メーカーのコスト構造に太刀打ちできなかった。
そして、ここに興味深い事実がある。Veydraの Mini Primeレンズを製造していたサードパーティが、同じ光学設計のレンズを別のブランド名でも販売し始めたのだ。それが**Meike(美科)**である。ProVideo CoalitionのAdam Wiltが確認したように、「MeikeのMini PrimeはVeydraのMini Primeの光学系と同一であり、外装が異なるだけ」なのである。オリジナルのブランドが消滅し、製造元のブランドが生き残る——これはグローバル製造業の厳しい現実を象徴するエピソードである。
現在、Veydra Mini Primeは中古市場でのみ入手可能だ。その光学的な血統は、Meike Mini Primeの中で生き続けている。
4-3. 深圳からの大波——中国メーカーの台頭
なぜ中国メーカーが多いのか:構造的分析
MFTシネマレンズ市場を見渡すと、ある事実に気づく。メーカーの大半が中国企業なのである。現時点でMFT対応のシネマレンズを製造している主要メーカーを国別に整理すると、その偏りは歴然としている。
| 国・地域 | メーカー | 主力製品 |
|---|---|---|
| 中国(大陸) | Meike、DZOFilm、SIRUI、7Artisans、Laowa、中一光学、BLAZAR | シネプライム、シネズーム、アナモルフィック |
| 中国(香港) | SLR Magic | シネプライム、アナモルフィック |
| アメリカ | Veydra(事業停止) | シネプライム |
| 韓国 | Samyang | VDSLR(写真用レンズのシネマ仕様版) |
| 日本 | Tokina | Cinema ATX(一部MFT対応) |
中国メーカーがこの市場を支配している理由は、単純に「人件費が安いから」では説明できない。複数の構造的要因が絡み合っている。
理由①:深圳の製造エコシステム
中国のMFTシネレンズメーカーの大半が広東省深圳市に集中している。Meike、DZOFilm、7Artisans、BLAZAR——いずれも深圳である。SIRUI(思銳)は同じ広東省の中山市、中一光学(Zhongyi Optics)は遼寧省瀋陽市、Laowa(Venus Optics)は安徽省合肥市に本拠を置くが、製造拠点の多くは広東省周辺に関わりを持つ。
これは偶然ではない。深圳は世界最大の電子機器製造ハブであり、そのサプライチェーンには光学ガラスの供給業者、CNC加工業者(金属筐体を削り出す)、コーティング業者、組み立て工場が密集している。レンズを製造するために必要なすべてのパーツが、車で数十分の圏内に揃っているのだ。
加えて、中国東北部の長春市周辺には**長春光学精密機械研究所(通称「光機所」)**をはじめとする光学研究機関があり、光学設計の人材供給源となっている。設計は長春や瀋陽、製造は深圳——この分業体制が、中国レンズ産業の競争力の源泉である。
日本のレンズメーカー(シグマ、タムロン、トキナーなど)が数十年かけて構築した圧縮的な光学技術と製造能力を、深圳はエコシステムの集積によって別の形で実現している。個々の企業の技術力では日本メーカーに及ばない部分もあるが、地域全体としての製造インフラは圧倒的である。
理由②:BMPCCが作った「安いシネレンズ」への需要
第3章で述べたように、BMPCCは995ドルのシネマカメラだった。そのユーザーが求めるレンズの価格帯も、当然低くなる。一本数千ドルのCarl Zeiss CP.2やARRI Ultra Primeを「995ドルのカメラ」に付ける人は少数派である。多くのユーザーが求めたのは、「シネマ仕様だが、1本200〜500ドル程度」のレンズだった。
この価格帯でシネマレンズを作れるのは、事実上中国の製造業だけだった。日本のメーカーが一本200ドルのシネマレンズを作ることは、人件費と製造コストの構造上、ほぼ不可能である。
理由③:MFTマウントのオープン規格
第2章でも触れたが、MFTマウントはオープン規格である。ライセンス料を支払う必要なく、誰でもマウント仕様にアクセスできる。これは、キヤノンRFマウント(サードパーティの参入を制限)やソニーEマウント(当初は仕様公開が限定的)とは対照的である。小規模な中国メーカーにとって、参入障壁が低いことは決定的に重要だった。
理由④:日本メーカーの「空白」
これは見落とされがちな要因だが、極めて重要である。MFT規格の策定者であるパナソニックとオリンパス(現OMデジタルソリューションズ)は、シネマ専用レンズを一本も作らなかった。
パナソニックのLEICA DGシリーズは動画撮影にも優れたレンズだが、それはあくまで「AF対応の写真用レンズ」であり、T値表記、ステップレスアイリス、フォローフォーカス用ギアといったシネマレンズの要件は満たしていない。
なぜ日本のメーカーはMFTシネマレンズを作らなかったのか。推測ではあるが、以下の理由が考えられる。
- パナソニックはカメラボディが主力製品であり、レンズ単体での利益構造が異なる
- シネマレンズは市場規模が小さく、大企業にとっては参入するメリットが限られる
- 日本のシネマレンズメーカー(トキナー等)は既にPLマウントやSuper 35向けに注力しており、MFTの小さなイメージサークル向けに新規設計する動機が薄かった
- 日本のレンズメーカーにとって、一本200〜500ドルのシネマレンズは利益率が低すぎる
結果として、MFTシネマレンズという市場には日本メーカーの空白が生まれた。その空白を、中国メーカーが埋めたのである。
理由⑤:クラウドファンディングの活用
もう一つ、2010年代後半の中国レンズメーカーの成長を語る上で外せないのがクラウドファンディングの存在である。Indiegogo、Kickstarterといったプラットフォームは、小規模メーカーが製造前に資金を集め、市場の反応を測るための強力なツールとなった。
特にSIRUI(思銳)の1.33×アナモルフィックレンズは、クラウドファンディングで爆発的な成功を収め、インディペンデント映像クリエイターの間に広く浸透した。従来、アナモルフィックレンズは数万ドルする製品だったが、SIRUIはそれを数百ドルで提供し、「アナモルフィック撮影の民主化」を実現した。
4-4. メーカー群像——MFTシネレンズを作った企業たち
Meike(美科):Veydraの遺伝子を継ぐ深圳の巨人
広東省深圳市に拠点を置くMeike(美科)は、2008年頃の設立以来、バッテリーグリップやフラッシュなどカメラアクセサリーを幅広く手がけてきた。だが、同社の名を映像制作者の間に広めたのは、MFT用のMini Prime T2.2シネプライムシリーズである。
前述の通り、MeikeのMini Primeは光学的にVeydraのMini Primeと同一の系譜にある。Veydra撤退後、低価格MFTシネプライムの代表格として市場を引き継いだ。
Meikeの強みはラインナップの広さである。MFT用シネプライムとしては最多の9焦点距離(8mm・10mm・12mm・16mm・25mm・35mm・50mm・65mm・85mm)を揃える。8mmのみT2.9だが、それ以外はT2.2で統一されており、0.8MODギア、デクリック絞りを標準装備。1本あたりの価格は200〜400ドル程度で、BMPCC 4Kユーザーを中心に爆発的に普及した。
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DZOFilm(東正光学):シネズームでMFTに挑む
2019年に深圳で設立されたDZOFilm(東正光学)は、シネマ用レンズ専業メーカーとして急成長を遂げた企業である。PLマウントやEマウント向けのPictor Zoomシリーズ、Vespid Primeシリーズで世界的に評価を高めてきた。
MFTマウント向けには、**Linglung(玲瓏)**シリーズとして2本のパーフォーカル・シネズームを展開している。
| レンズ名 | 焦点距離 | 明るさ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Linglung 10-24mm | 10-24mm | T2.9 | パーフォーカル、全金属筐体、12枚絞り羽根、270°フォーカス回転、0.8MODギア |
| Linglung 20-70mm | 20-70mm | T2.9 | パーフォーカル、全金属筐体、12枚絞り羽根、270°フォーカス回転、0.8MODギア |
Linglung(「玲瓏」は中国語で「精巧で美しい」の意)の最大の特徴は、パーフォーカル設計——つまりズーム操作をしてもピントがズレない設計——であることだ。これはシネマズームにとって不可欠な要件だが、実現にはコストがかかる。DZOFilmがこれを中価格帯で実現したことは、技術力の証明である。
また、Linglungシリーズは小型・軽量であるため、ジンバル運用にも適する。DJI RS シリーズなどのハンドヘルドジンバルにBMPCC 4K + Linglungを組み合わせる運用は、ワンオペ(一人撮影)の映像制作者にとって現実的な選択肢である。
DZOFilmのMFTレンズは2本のみだが、同社のシネマレンズ全体のクオリティは業界で高く評価されている。NAB 2019でデビューしたLinglungは、「MFTマウントでも本格的なシネズームが使える」ことを証明した製品である。
SIRUI(思銳):三脚メーカーが起こした「アナモルフィック革命」
広東省中山市のSIRUI(思銳)は、2001年に三脚メーカーとして創業した。カーボンファイバー三脚やビデオ雲台で着実に実績を積んだ同社が、レンズ市場に参入したのは2010年代後半のことである。
SIRUIがMFTシネレンズの歴史に残した最大の功績は、低価格アナモルフィックレンズの普及である。
1.33×スクイーズのアナモルフィックシネプライムをMFTマウントで展開し、クラウドファンディングで驚異的な支援額を集めた。従来、アナモルフィックレンズといえばPanavisionやARRIが製造する超高額製品——レンタルで1日数百ドル、購入すれば一本数万ドル——だった。SIRUIはそれを1本数百ドルで提供し、**「アナモルフィック撮影の民主化」**を実現したのである。
インディペンデント映像クリエイターの間でSIRUIのアナモルフィックレンズが広く浸透した理由は、価格だけではない。1.33×という倍率が絶妙だったのだ。2×アナモルフィック(映画撮影の標準)に比べ、1.33×はポストプロダクションでのデスクイーズが容易であり、16:9のセンサーから2.4:1に近いアスペクト比を得られる。特有のフレアやボケの楕円形状といったアナモルフィックの美学的効果も十分に享受できる。「映画的な画」を手軽に手に入れたいクリエイターにとって、理想的なバランスだった。
SIRUIはさらに、NightwalkerシリーズとしてT1.2の超大口径シネプライムもMFT対応で展開している。三脚メーカーから映像用レンズメーカーへの転身は大胆だが、「映像制作者が使う機材全体」を提供するという戦略は理にかなっている。
中一光学(Zhongyi Optics / Mitakon):T1.0の異端児
遼寧省瀋陽市に拠点を置く中一光学(Zhongyi Optics、海外ではMitakonブランド)は、超大口径レンズで独自の存在感を示すメーカーである。写真用レンズのSpeedmasterシリーズ(f/0.95等)で知られる同社は、シネマレンズにおいても異彩を放っている。
同社が展開するSpeedmaster Cinemaシリーズは、T1.0という驚異的な明るさのシネプライム4本(17mm・25mm・35mm・50mm)をMFT対応で提供するT1.0というのは、F値に換算するとf/0.95に相当する明るさであり、超低照度環境での撮影に圧倒的な強みを持つ。Super 35センサーもカバーするイメージサークルを確保しているため、BMPCC 4Kだけでなく将来的なカメラの進化にも対応できる設計だ。
また、同社はLens Turbo(レンズターボ)というフォーカルレデューサー付きマウントアダプターも製造している。これはMetabones Speed Boosterと同様の製品で、フルサイズレンズをMFTボディに装着する際にイメージサークルを縮小し、約1段分の増光効果を得るものだ。レンズ本体とアダプターの両方を手がけるという点で、MFTエコシステムへのコミットメントは深い。
なお、ここで一つ注意すべきエピソードがある。ドイツのMeyer-Optik Görlitzが2010年代後半に発売した「Nocturnus 50mm f/0.95」は、実は中一光学のSpeedmaster 50mm f/0.95のリブランド品であったことが判明している。ヨーロッパの伝統ブランドの名を冠しながら、実態は中国メーカーの製品だった——これもまた、グローバル光学産業の複雑な現実を示す事例である。
7Artisans(七工匠):低価格路線を貫く深圳の量産型
2016年に深圳で設立された7Artisans(七工匠)は、低価格なMFレンズを各社マウントで大量に展開するメーカーとして急成長した。写真用MFレンズが主力だが、シネマ仕様のVISIONシリーズでMFTマウントにも対応している。
VISIONシリーズの特徴はT1.05という極めて明るいスペックである。各焦点距離をT1.05で統一し、低価格路線を維持している。光学性能では上位メーカーに及ばない部分もあるが、「シネマ仕様のレンズをとにかく安く手に入れたい」というエントリー層の需要を的確に捉えている。
Laowa / Venus Optics(老蛙 / ヴィーナスオプティクス):独創性の塊
安徽省合肥市に拠点を置くVenus Optics(Laowaブランド)は、写真用レンズにおいて独創的な製品で知られるメーカーである。世界最広角のゼロディストーション超広角レンズ、プローブ型マクロレンズなど、他社が作らないレンズを作ることに定評がある。
シネマレンズにおいては、Nanomorphシリーズの1.5×アナモルフィックプライムをMFT対応で展開している。Nanomorphは「ナノモルフ」と読み、極めてコンパクトなアナモルフィックレンズとして設計された。SIRUIの1.33×に対して1.5×という倍率を選んだことで、より強いアナモルフィック効果(フレアの出方、ボケの楕円形状、横方向の圧縮感)を得られる。
また、Laowaはシネズームも展開しており、MFTマウントへの対応範囲は着実に広がっている。
BLAZAR:2020年代のダークホース
2020年頃に深圳で設立されたBLAZAR(ブレイザー)は、MFTシネレンズ市場の最も新しいプレイヤーの一つである。同社のRemusシリーズは、1.5×アナモルフィックシネプライムをMFTマウントを含む複数マウントで展開し、低価格で急速に注目を集めている。
さらにCatoシリーズとして2×アナモルフィックのフルフレーム対応レンズも展開しており、製品ラインナップを急速に拡充している。2020年代に入ってからの参入でありながら、すでに映像制作コミュニティで一定の存在感を確立しているのは、この市場がいまだ成長途上にあることの証左である。
Samyang(サムヤン)とTokina(トキナー):非中国勢の存在
中国メーカーが支配的なMFTシネレンズ市場において、非中国勢として存在感を示しているのが韓国のSamyangと日本のTokinaである。
Samyangは写真用レンズのシネマ仕様版であるVDSLRシリーズでMFTマウントに対応している。VDSLRシリーズは写真用レンズにデクリック絞りとギアを追加したもので、純粋なシネマレンズとは設計思想が異なるが、低価格で実用的な選択肢として一定の評価を得ている。なお、同社のハイエンドシネマレンズであるXEENシリーズはMFT非対応(PLマウント等のみ)である。
TokinaはCinema ATXシリーズの一部(11-20mm T2.9等)でMFTマウントに対応している。Super 35イメージサークルをカバーする本格的なシネズームであり、品質面では中国メーカーの製品を凌駕する部分もある。ただし、MFT専用設計ではなく、あくまでマルチマウント展開の一環としてのMFT対応である。
4-5. アナモルフィック革命——「映画の画」が手に届く時代
アナモルフィックレンズとは何か
シネマレンズの歴史において、MFTマウントが引き起こした最も劇的な変化の一つが、アナモルフィックレンズの低価格化である。
アナモルフィックレンズとは、水平方向に光を圧縮して記録し、ポストプロダクションで引き伸ばす(デスクイーズする)ことで、ワイドスクリーンのアスペクト比を実現するレンズである。1950年代にCinemaScope方式として映画業界に導入されて以来、映画的な視覚表現の代名詞となってきた。
アナモルフィックレンズが生み出す映像は、スフェリカルレンズ(通常の球面レンズ)とは明らかに異なる特徴を持つ:
- 水平方向に引き伸ばされた楕円形のボケ
- 水平方向のフレア(レンズに光が入ったときに現れる線状の光)
- 独特の被写界深度の浅さ
- ワイドスクリーンのアスペクト比(2.39:1や2.4:1)
これらの特徴が、観客に「これは映画だ」と感じさせる視覚的手がかりとなる。ハリウッド映画の多くがアナモルフィックレンズで撮影されている理由はここにある。
Panavisionの独占から「民主化」へ
従来、アナモルフィックレンズはPanavision(販売せずレンタルのみ)、ARRI、Cooke、Hawk(Vantage Film)などが製造する極めて高価な製品だった。レンタル料は1日数百ドル、購入すれば一本数万ドルが相場である。インディペンデント映像制作者にとって、アナモルフィック撮影は「憧れだが手が届かない」ものだった。
この状況を一変させたのが、MFTマウント対応のアナモルフィックレンズを展開した中国メーカーたちである。
| メーカー | シリーズ名 | スクイーズ倍率 | MFT対応 | 価格帯(1本) |
|---|---|---|---|---|
| SIRUI | 1.33× Anamorphic | 1.33× | ◯ | 約300〜500ドル |
| Laowa | Nanomorph | 1.5× | ◯ | 約800〜1,000ドル |
| BLAZAR | Remus | 1.5× | ✕(PL/E/RF/Lのみ) | 約800〜1,000ドル |
| SLR Magic | Anamorphot-CINE | 2× / 1.33× | ◯ | 約1,000〜2,000ドル |
一本300ドルでアナモルフィック撮影ができる——この事実が持つインパクトは計り知れない。BMPCC 4K(約1,295ドル)にSIRUIのアナモルフィックレンズを装着すれば、合計2,000ドル以下で「映画の画」を撮影できるのだ。10年前なら、同じ画を得るためにはカメラとレンズで10万ドル以上が必要だったかもしれない。
この「アナモルフィックの民主化」は、MFTマウントの存在なしには実現しなかった。小さなイメージサークルは、小さなアナモルフィックエレメントで済むことを意味し、それはすなわちコストの削減に直結する。MFTのフランジバック19.25mmという短さも、アナモルフィック光学系の設計に有利に働いた。
4-6. 規格策定者が作らなかったレンズ——逆説としてのMFTシネレンズ市場
ここまで見てきたMFTシネレンズの歴史には、一つの大きな逆説がある。
MFTマウントを作ったパナソニックとオリンパスは、シネマレンズを一本も作らなかった。
にもかかわらず、MFTはシネマレンズのマウントとして世界で最も多くのサードパーティメーカーを集めたマウントの一つとなった。規格策定者がシネマレンズを作らなかったからこそ、サードパーティの参入余地が生まれ、結果として多様で競争的な市場が形成されたのである。
この構造は、パーソナルコンピュータの歴史に似ている。IBMがPCの規格を作り、しかしソフトウェアの多くはサードパーティが作った。Microsoftがオペレーティングシステムを作り、しかしアプリケーションの多くはサードパーティが作った。プラットフォームの価値は、プラットフォーム提供者自身が作るものだけでなく、そのプラットフォーム上でサードパーティが作るものによっても決まる。
MFTのシネマレンズ市場は、まさにこのプラットフォーム理論の好例である。パナソニックとオリンパスがオープン規格としてMFTを設計し、BMDがそのマウントを採用してシネマカメラを作り、中国メーカーがそのエコシステムの上にシネマレンズ市場を構築した。三者のいずれも、この結果を計画していたわけではない。それは創発的に生まれた秩序だった。
カメラメーカーの映像向けレンズ——「シネマ仕様」ではないが「映像に強い」
パナソニックがシネマ専用レンズを作らなかったことは事実だが、映像制作への貢献がなかったわけではない。同社のLEICA DGシリーズは、動画AFに最適化された静粛な駆動設計と優れた光学性能を備えており、GHシリーズとの組み合わせで映像制作者に広く使われている。
ただし、T値表記ではなくF値表記であること、絞りがクリックストップであること(多くのモデルでデクリック設定が可能だが)、フォローフォーカス用ギアが標準装備されていないことなど、シネマレンズとしての要件は満たしていない。プロの映像制作においては、パナソニック純正レンズはAF撮影やランガン(走りながらの撮影)で使い、精密なフォーカス制御が求められるセットアップではシネマレンズに切り替える——という使い分けが一般的である。
OMデジタルソリューションズ(旧オリンパス)のM.Zuiko PROシリーズも同様に、動画撮影に対応する優秀なレンズだが、シネマ専用レンズは製造していない。
4-7. MFTシネレンズ市場の全体像——2026年の風景
2026年現在、MFTマウントのシネマレンズ市場は以下のような構造を形成している。
カテゴリー別の主要メーカーと製品
| カテゴリー | 代表的なメーカー・製品 | 価格帯(1本) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 低価格シネプライム | Meike Mini Prime T2.2、7Artisans VISION T1.05 | 150〜400ドル | BMPCC 4Kユーザーの定番。セット買いしやすい |
| 中価格シネプライム | SLR Magic MicroPrime CINE、中一光学 Speedmaster Cinema T1.0 | 400〜1,500ドル | 光学性能と価格のバランス。T1.0〜T1.3の超大口径も |
| シネズーム | DZOFilm Linglung T2.9、Tokina Cinema ATX | 500〜2,000ドル | パーフォーカル設計。ワンオペやジンバル運用に最適 |
| アナモルフィック | SIRUI 1.33×、Laowa Nanomorph 1.5×、SLR Magic Anamorphot-CINE 2×/1.33× | 300〜1,000ドル | 「アナモルフィックの民主化」を実現 |
MFTシネレンズの主な需要元カメラ
この市場を支えているカメラボディも確認しておきたい。
- Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K(BMPCC 4K):MFTシネレンズ市場の最大の牽引役。MFTマウント、12-bit RAW収録、デュアルネイティブISO
- Panasonic LUMIX GH7 / GH6 / GH5シリーズ:動画性能に特化したMFTミラーレス。GH7は内部ProRes RAW収録に対応、GH6は内部ProRes 422・外部RAW出力、GH5は10-bit 4:2:2内部収録
- Z CAM E2-M4:MFTマウントのモジュラー型シネマカメラ。4K 160fps、ProRes 422内部記録、930g
- JVC GY-LS300:MFTマウント採用の業務用カムコーダー
これらのカメラが存在し続ける限り、MFTシネレンズへの需要は続く。特にBMPCC 4Kは、発売から年数が経過した現在もなお、インディペンデント映像制作のスタンダードとして広く使われている。
4-8. 光学産業の地殻変動——MFTシネレンズが示したもの
MFTシネマレンズの歴史は、単なるレンズカタログの記録ではない。そこには、光学産業の地殻変動が凝縮されている。
①「シネマレンズ=高級品」の終焉
伝統的に、シネマレンズはCarl Zeiss、ARRI、Cooke、Angénieuxといったヨーロッパの名門が独占していた。一本数千ドルから数万ドル、レンタルで使うのが常識——その前提を、MFTマウントのシネレンズが根底から覆した。一本200ドルのシネマレンズが存在する世界では、「シネマレンズは高級品」という認識そのものが変わらざるを得ない。
もちろん、200ドルのMeike Mini Primeと数万ドルのARRI Signature Primeの光学性能は全く異なる。だが重要なのは、「シネマ仕様」の基本要件を満たすレンズが低価格で入手可能になったことだ。T値表記、ステップレスアイリス、0.8MODギア、統一されたフィルター径——これらの要件を満たすレンズセットが2,000ドル以下で揃う。それだけで、映像制作のワークフローは根本的に変わる。
②中国光学産業の台頭
MFTシネレンズ市場は、中国光学産業の台頭を象徴する事例でもある。Meike、DZOFilm、SIRUI、7Artisans、Laowa、中一光学、BLAZAR——これらのメーカーは、MFTシネレンズだけでなく、写真用レンズやフルサイズ対応シネマレンズの分野でも急速に存在感を高めている。
2010年代初頭、中国製レンズは「安かろう悪かろう」の代名詞だった。だが2020年代には、DZOFilmのPictor ZoomシリーズがNetflixの認定カメラリスト向け制作でも使用されるなど、品質面でも着実に進歩している。MFTシネレンズという「小さな市場」での経験が、これらのメーカーがより大きな市場(フルサイズ、ラージフォーマット)へ進出するための足がかりとなっているのだ。
③アメリカのスタートアップの限界
Veydraの消滅は、グローバル製造業における悲しい現実を示している。アメリカで設計し、サードパーティに製造委託するモデルでは、製造元が自社ブランドで同等品を出せてしまう。知的財産の保護、サプライチェーンの管理、価格競争力——いずれの面でも、深圳に拠点を置くメーカーに対してアメリカのスタートアップが不利だった。
これはレンズ産業に限った話ではない。ドローン(DJI vs アメリカのスタートアップ)、スマートフォンアクセサリー、LEDライト——多くの分野で同様のパターンが繰り返されている。
本章のまとめ
MFTマウントのシネマレンズ市場は、以下の要因が重なって生まれた創発的な現象である。
- BMPCCとGH4が「低価格シネマカメラ」の需要を作った
- MFTマウントのオープン規格が参入障壁を下げた
- 深圳の製造エコシステムが低価格製造を可能にした
- 日本の規格策定者がシネマレンズを作らなかったことで空白が生まれた
- クラウドファンディングが小規模メーカーの資金調達を可能にした
Veydra、SLR Magic、Meike、DZOFilm、SIRUI——これらのメーカーが作り上げたMFTシネレンズ市場は、「映像制作のコストを下げる」というBMPCCが始めた革命を、レンズの側面から完成させたものである。
次章では、もう一つの「コスト革命」——Metabones Speed Boosterとマウントアダプターが、MFTの可能性をいかに拡張したかを見ていく。
マイクロフォーサーズと映像表現の歴史—19.25mmのフランジバックが映像産業にもたらしたもの
- 誕生—「ミラーレス」という言葉はまだなかった
- 写真機を超えて——マウントとしてのマイクロフォーサーズ
- 995ドルの革命—Blackmagic Pocket Cinema Camera(2013)
- シネマレンズ大航海時代——MFTマウントが生んだ巨大市場
- 越境するレンズ—Speed Boosterとマウントアダプターの魔法
- GH5とBMPCC 4K—評価の分水嶺
- 2020年代のMFT—縮小する市場、拡大する可能性
典拠
- Matthew Duclos, “Veydra, First To Offer M4/3 Cinema Primes”, The Cine Lens, 2014年11月20日 https://thecinelens.com/2014/11/20/veydra-first-to-offer-m43-cinema-primes/
- Matthew Duclos, “RIP Veydra: 2014-2019”, The Cine Lens, 2020年4月18日 https://thecinelens.com/2020/04/18/rip-veydra-2014-2019/
- Adam Wilt, “It’s true: Meikes are Veydras”, ProVideo Coalition https://www.provideocoalition.com/meikes-are-veydras/
- dpreview, “SLR Magic to show four prototype lenses at Photokina”, 2012年 https://www.dpreview.com/articles/3393720521/slr-magic-to-show-four-prototype-lenses-at-photokina
- SLR Magic公式サイト, “MicroPrime CINE 21mm T1.6 (MFT-mount)” https://www.slrmagic.com/product-page/microprime-cine-21mm-t1-6-mft-mount-lens
- Newsshooter, “SLR Magic announces a 35, 50 and 70mm 2x anamorphic cine lens set”, 2015年9月9日 https://www.newsshooter.com/2015/09/09/slr-magic-announces-a-35-50-and-70mm-2x-anamorphic-cine-lens-set/
- DZOFilm公式サイト, Linglungシリーズ https://dzofilm.com/
- Photo Rumors, “Interesting interview with Viltrox”, 2023年9月15日(MFT・Lマウント用シネレンズへの言及) https://photorumors.com/2023/09/15/interesting-interview-with-viltrox/
- DIY Photography, “New Viltrox roadmap shows nine new lenses on the way including Micro Four Thirds cine lenses” https://www.diyphotography.net/new-viltrox-roadmap-shows-nine-new-lenses-on-the-way-including-micro-four-thirds-cine-lenses/
- Micro Four Thirds system, Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/Micro_Four_Thirds_system
- List of Micro Four Thirds lenses, Wikipedia https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Micro_Four_Thirds_lenses



