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アツデンの主要製品|ショットガンマイクの各モデル解説(2)

AZDEN
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「アツデンって、何を作っている会社なの?」 と聞かれたら、答えはシンプルだ。マイクを作っている。ショットガンマイク、ワイヤレスマイクシステム、ラベリアマイク。映像制作の音声収録に必要な機材を、70年以上にわたって製造し続けている日本のメーカーだ。

だが、ヨドバシカメラでもビックカメラでも都心の大型店でなければなかなか置いていない。YouTubeでレビュー動画を探しても、ほとんど見つからない。だからこそ、この第2回では「いま、アツデンはどんな製品を売っているのか」を、現行ラインナップと価格を含めて具体的に整理する。

機材選びの検討リストに載せるかどうか。その判断材料にしてほしい。


ショットガンマイク|アツデンの看板製品

ショットガンマイクは、カメラの上部(ホットシューやコールドシュー)に搭載したり、ブームポールの先端に取り付けて使う 指向性マイク だ。正面方向の音を集中して拾い、左右や後方の音を抑えるのが特徴で、映像制作現場ではもっとも使用頻度の高いマイクタイプのひとつだ。

アツデンのショットガンマイクは「SGM」シリーズを中心に展開されている。業務用のXLR接続モデルだが近年の低価格シネマカメラで見られるMini XLR接続のモデルもある。

なお、価格については公式サイトの価格を記載している。

現行ショットガンマイク一覧

モデル名接続全長重量電源価格特徴
SGM-PDⅡXLR150mm110g
コード込

ファンタム48V
¥23,430ENGカメラ用のショートタイプ
SGM-250CXXLR153mm85g
コード込
ファンタム48V¥30,800コンパクトシネマイク。オンカメラ向けショートタイプ
SGM-250MXMini XLR153mm85g
コード込
ファンタム48V¥30,800Mini XLR版。対応レコーダー・カメラ向け
SGM-250LXXLR(L型)153mm120g
コード込
ファンタム48V¥34,100L型XLRジャック搭載のコンパクトモデル
SGM-250XLR250mm160gファンタム48V / 単3電池¥37,400デュアル電源対応。電池駆動も可能
SGM-250HXLR250mm110gファンタム48V¥40,4700ハイパーカーディオイド(超指向性)モデル
SGM-3500XLR180mm125gファンタム48V¥93,500放送スペックのフルサイズショットガン
SGM-3500LXLR247mm155gファンタム48V¥104,500SGM-3500のロングバージョン
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SGM-250CXには、SGM-250で好評を得ている新世代ECMマイクユニットを採用。出力には長さ33cmのXLRコネクター音声ケーブルを標準実装。音響管の長さは15.3cmとコンパクト。この短さで超指向性とノイズの少ない高品質録音を実現...

注目モデル:SGM-250CX・LX・MX

フリーランスや小規模プロダクションにとって最も注目すべきモデルは SGM-250CX・LX・MX だ。

  • XLR接続:シネマカメラのXLR端子に直接接続できる
  • コンパクト設計:オンカメラ搭載を前提としたショートタイプ

ショートタイプというのは明確なメリットである。たとえば、オンカメラのショットガンマイクで定番のSENNHEISER MKE 600は全長256mmと約10cmほど長い。ミラーレスカメラを使用している方なら検討がつくと思うが、25.6cmというのは結構な長さである。望遠レンズを装着している時なら良いが、超広角レンズを装着していると、マイクが画角に入り込んできてしまうことがある。また、長さがある分取り回しも難しいので、機動力のある撮影には向いていない。SGM-250CX、LX、MXであれば、慌ただしい現場や、動き回る撮影での使い勝手が良いといえる。

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注目モデル:SGM-250H

2022年に登場した SGM-250H は、ハイパーカーディオイド(超指向性)パターンを持つモデルだ。通常のショットガンマイク(スーパーカーディオイド)よりもさらに狭い範囲の音を拾う設計で、インタビューやドキュメンタリーのような「特定の声だけを正確に収音したい」場面に向く。

ビデオグラファーが使用するシーンとしては、音声を別録する余裕がある現場で、ブームを立てて録るなど、オンカメラのマイクにもうひとつ追加したい時などに有効だ。例えば、オンカメラで使用するマイクがSGM-250CXで、別録のマイクが同じSGM-250Hであれば、編集時に音を合わせやすいというメリットがある。

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放送スペック:SGM-3500 / SGM-3500L

SGM-3500シリーズは、アツデンが「Broadcast Spec(放送スペック)」と銘打つフラッグシップモデルだ。公式サイトでは「5kHz~15kHzの周波数範囲において従来品より感度を2dBあげることで人間や動物の声などの高域がより明瞭」になったとしている。

  • SGM-3500:¥93,500
  • SGM-3500L(ロングバージョン):¥104,500

この価格帯になると、フリーランスの映像制作者が日常的に選ぶ価格帯というよりは、放送・制作会社向けのハイエンドモデルと位置づけるのが妥当だ。


② ワイヤレスマイクシステム|アツデンの歴史的な強み

ワイヤレスマイクシステムは、送信機(トランスミッター)と受信機(レシーバー)のセットで構成される音声伝送システムだ。インタビュー・イベント・礼拝・動画配信など、ケーブル接続が困難な場面で使用される。

アツデンは1967年にワイヤレス技術への参入を果たしており、同社の中でも最も長い歴史を持つ製品カテゴリーのひとつだ。VHF帯からUHF帯、そして2.4GHzデジタルワイヤレスまで、複数の帯域にまたがるラインナップを揃えている。

現行ワイヤレスシステム一覧

モデル名帯域構成価格特徴
PRO-XR2.4GHz送信機+受信機¥24,200デジタルワイヤレス。現行フラッグシップ
WHX-PROVHFハンドヘルドマイク+受信機$259
国内サイト記載なし
VHF帯のハンドヘルドマイクセット

注目モデル:PRO-XR

PRO-XR は、アツデンのワイヤレスシステム現行ラインの中で唯一の 2.4GHzデジタルワイヤレス だ。

2.4GHz帯はRØDE Wireless GO IIやDJI Mic 2と同じ帯域で、免許不要で世界中で使用できるISMバンドを利用している。RØDE Wireless GO III(約¥51,700)など優れた製品が世に出ているなかで、価格のメリットはあるように感じられる。

VHF帯モデルの現在地

WHX-PROはいずれも VHF帯(Very High Frequency) を使用するアナログワイヤレスシステムだ。なお、国内では販売されていない。

2.4GHzデジタルワイヤレスが主流となった現在、VHF帯のシステムは一見すると旧世代の技術に見えるかもしれない。だが、VHF帯にはVHF帯のメリットがある。

  • 2.4GHz帯よりも障害物に強い(波長が長いため回折しやすい)
  • Wi-Fiやbluetoothとの干渉が起きにくい(帯域が異なる)
  • 多数の送受信機を同時運用する施設での管理がしやすい

教会の礼拝・学校の放送設備・イベント会場など、設置型で使うケースではVHF帯のシンプルなシステムが今でも選ばれることがある。


③ カメラマイク

カメラのホットシューに直接搭載するタイプのマイクも、アツデンのラインナップに含まれている。こちらは国内で「ショットガンマイク」と分類されているものも、用途としては「カメラマイク」であることが多いが、ここでは3.5mm TRS(ステレオミニプラグ、一般的なヘッドフォン等と同じ大きさの端子)

現行ビデオマイク

モデル名タイプ接続参考価格(¥)特徴
SMX-30Vステレオ/モノラル ミックス3.5mm TRS¥35,200ステレオとモノラルをミックス可能な独自設計
SMX-30IIステレオ/モノラル 切替3.5mm TRS¥29,700ステレオとモノラルを切替可能
SMX-15IIモノラル ショットガン3.5mm TRS¥22,000シンプルなモノラルショットガン
SMX-10ステレオ3.5mm TRS¥19,360エントリー向けステレオマイク
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⑤ ミキサー

アツデンはポータブルオーディオミキサーも製造している。複数のマイク入力をまとめてカメラに送るための機材だ。ここではカメラ用をいくつか提示する


⑥ アクセサリー・周辺機器

マイクやワイヤレスシステムを現場で使うための周辺アクセサリーも展開されている。

  • MC-1 / MC-1α:コンパクトマイクアダプター。カメラのホットシューにXLRマイクを搭載するためのアタッチメント
  • MC-1PH:ファンタム電源供給機能付きマイクアダプター。ファンタム電源を持たないカメラでもXLRマイクが使える
  • SWS-250 / SWS-CX / SWS-100 / SWS-200:各マイクモデル対応のウインドジャマー(風切り音防止カバー)
  • SMH-X:ショックマウントホルダー(振動絶縁マウント)
  • MH-787:モニター用ヘッドホン
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MC-1PHは隠れた実用品

MC-1PH は特筆に値する製品だ。ファンタム電源(48V)を内蔵し、ファンタム供給機能を持たないカメラでもXLRコンデンサーマイクを使えるようにする小型アダプターだ。

たとえば、ソニーFX30は本体にXLR端子を持つが、ファンタム電源の供給はXLRハンドルユニット(付属または別売)経由で行う設計だ。ハンドルユニットなしでXLRマイクを使いたいとき、MC-1PHのようなアダプターが選択肢になる。


かつてヒットした製品

現行モデルだけでなく、アツデンの過去のヒット製品にも触れておこう。「このブランドがどういう歴史の中で製品を作ってきたのか」を知ることで、現行製品への理解も深まるからだ。

WM-PRO(VHFワイヤレス)

北米市場でロングセラーとなったモデルのひとつが WM-PRO だ。VHF帯を用いたカメラ搭載型ワイヤレスシステムで、映像制作者やジャーナリストに長年支持された。

あるアメリカの海外レビュアーは「14年前のオールタイムベストセラー」と表現している。手頃な価格帯でXLR接続ができる業務用ワイヤレスとして、特にECM市場(教会向け)や地方の放送局での導入実績が多い。

SGM-1Xシリーズ

現行SGM-250CXの源流にあたるショットガンマイクシリーズ。XLR接続で業務カメラとの親和性が高く、日本の地方局や制作会社での採用実績があった。「アツデンのショットガンは使える」という現場評価が積み上がった世代の製品だ。

WLX-PRO

スマートフォンや3.5mm入力のカメラ向けに設計されたコンパクトなワイヤレスシステム。RØDE Wireless GOが登場する以前の2010年代後半に、この価格帯・このサイズのワイヤレスシステムは選択肢が限られていた。アツデン製品は数少ない選択肢のひとつとして一定の注目を集めた。


製品ラインナップから見えるアツデンの戦略

ここまでの製品一覧を俯瞰すると、いくつかの傾向が見えてくる。

① XLR接続へのこだわり

アツデンのショットガンマイクの大半はXLR接続だ。3.5mm(ミニジャック)モデルは限定的で、製品開発の軸はあくまでも業務用のXLR規格にある。

これはフリーランスや小規模プロダクションにとって重要な情報だ。XLR端子付きのシネマ系カメラを使っているなら、アツデンの製品は選択肢になる。一方、XLR端子を持たないミラーレスカメラ(α7シリーズ・EOS R5/R6など)を使っている場合、選択肢は限られる。

② 幅広い価格帯

SGM-PDⅡの23430円から10万円を超えるSGM-3500Lまで、ショットガンマイクだけで約4倍の価格レンジがある。エントリー層からプロフェッショナルまで、段階的にアップグレードできる製品構成になっている。

③ 「全部入り」ではなく「一芸特化」

RØDE VideoMic ProやDJI Mic 3のように、1台でなんでもこなせるオールインワン型の製品はアツデンのラインナップにはない。代わりに、「XLR接続のショートショットガン」「VHF帯の施設向けワイヤレス」「ステレオ/モノラル ミキサブルマイク」など、特定のニーズに特化した製品が並ぶ。

これは「何を買えばいいかわからない初心者」にとっては選びにくい構成だが、「自分に必要な機能が明確な経験者」にとっては無駄なく選べる構成だとも言える。


次回予告

第3回では、「なぜアツデンはこれほど知られていないのか」という疑問に踏み込む。国内外の販売チャネルの違い、レビューが蓄積されない構造的な理由、そしてマーケティング戦略の不在。流通と認知度の構造を読み解く。

アツデンのマイク、使ってる?アツデンの歴史

  1. アツデンの歴史|圧電技術の町工場から世界の映像現場へ
  2. アツデンの主要製品|ショットガン・ワイヤレス・ラベリア モデル解説
  3. なぜアツデンは知られていないのか|販路と認知度の構造を読み解く
  4. アツデンと教会市場|北米の教会音響市場が支えた日本メーカーの海外展開

参考

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