レンズフィルター・クロニクル — Chapter 04

1990年代末から2000年代にかけて、写真の世界は地殻変動に見舞われた。デジタルカメラの普及 である。フィルムがセンサーに置き換わり、暗室がパソコンに移り、ホワイトバランスがダイヤルひとつで変わるようになった。この大転換は、100年以上にわたって写真家の道具箱に収まっていたフィルターたちにも、容赦のない淘汰をもたらした。
第4章では、デジタル時代がフィルターにもたらした「大淘汰」、UVフィルターが「レンズ保護」へと役割を変えた経緯と論争、生き残ったフィルターたちの理由、中国メーカーの台頭、そしてフィルターの現在と未来を描く。
レンズフィルター・クロニクル
- 写真用フィルターの誕生——ゼラチンフィルターから偏光フィルターへ(1877〜1950年代)レンズフィルター
- フィルターの形を追って——Seriesフィルターからスクリューマウント、角型フィルター革命へ
- 特殊効果フィルターの世界——映画と写真の表現を変えたフィルターワーク
- デジタル時代のフィルター——大淘汰、保護論争、そして復権
デジタルの衝撃——「不要」になったフィルターたち
色温度変換フィルターの消滅
デジタルカメラの登場で最も大きな打撃を受けたのは、第1章で紹介した 色温度変換フィルター(80A、85B、81A、82Aなど)である。
フィルム時代、撮影者は光源の色温度とフィルムの種類(デイライト型かタングステン型か)を常に意識し、ミレッドシフト表を参照しながら適切なフィルターを選ばなければならなかった。色温度の不一致は、オレンジかぶりや青かぶりとなって写真に現れ、撮影後には修正が困難だった。
デジタルカメラは、この問題を ホワイトバランス(WB) 機能で一掃した。撮影時にWBを設定するだけで、あらゆる光源の色温度に対応でき、RAW撮影ならば撮影後にWBを自由に変更することすら可能だ。
色温度変換フィルターは、文字通り一夜にして不要となった。かつてプロの写真家が必携品としていた80Aや85Bは、カメラバッグから姿を消し、フィルターメーカーのカタログからも大幅に縮小された。
モノクロ用カラーフィルターの衰退
第1章で紹介した黄色・赤・緑・オレンジの モノクロ用コントラストフィルター も、デジタル時代には大きく需要を減らした。
デジタルカメラでモノクロ変換を行う場合、画像編集ソフトの チャンネルミキサー や モノクロミックス 機能で、各色チャンネルの比率を自由に調整できる。赤フィルターで空を暗くするのと同等以上の効果が、パソコン上で精密に、しかも非破壊的に実現できるのだ。
ただし例外がある。ライカM10モノクローム や ライカM11モノクローム のようなモノクロ専用デジタルカメラでは、センサーにカラーフィルターアレイ(ベイヤー配列)がないため、色チャンネルの分離ができない。こうしたカメラでモノクロのコントラストを制御するには、フィルム時代と同様に 光学フィルターを使う 必要があり、ニッチながらモノクロ用カラーフィルターの需要が存続している。
CC(色補正)フィルターと蛍光灯フィルターの消滅
蛍光灯下の緑かぶりを補正するFLフィルターや、微妙な色調整を行うCC(Color Correction)フィルターも、デジタルのWB機能とRAW現像で完全に代替された。
デジタル時代に「不要」となったフィルター
| フィルター | 理由 |
|---|---|
| 色温度変換(80A、85B等) | ホワイトバランス機能で代替 |
| モノクロ用カラー(黄・赤・緑等) | チャンネルミキサーで代替 |
| CC / FL(色補正) | RAW現像で代替 |
| スカイライト(1A、1B) | デジタルセンサーにUV感度がほぼない |
| グラデーションカラー | レイヤーマスクとカラーグレーディングで代替 |
| マルチイメージ / プリズム | デジタル加工で代替(またはトレンドの変化) |
これらのフィルターは、フィルム時代には写真家の必携品だったが、デジタルカメラの登場により10年足らずで市場から大幅に姿を消した。
UVフィルターの変貌——「紫外線カット」から「レンズ保護」へ
フィルム時代のUVフィルター
UV(紫外線カット)フィルター の本来の役割は、その名の通り紫外線を遮断することだった。
フィルム——特にカラーフィルム——は紫外線に感度を持つ場合があり、高地や海辺など紫外線が強い環境では、写真に 青みがかったヘイズ(霞み) が生じることがあった。UVフィルターはこの紫外線を吸収し、画像のコントラストと明瞭さを向上させた。
同様の目的で使われたのが スカイライトフィルター(Skylight 1A / 1B) で、こちらはわずかにピンク〜アンバーの色味を持ち、紫外線カットと同時に日陰の青みを軽減する効果があった。また ヘイズフィルター(Haze) も、遠景の霞みを低減するフィルターとして知られた。
デジタル時代——UVフィルターは「保護ガラス」になった
デジタルカメラのセンサーは、その前面に配置された IRカットフィルター(赤外線カットフィルター) やローパスフィルターが紫外線も遮断するため、UVフィルターの紫外線カット効果はほぼ不要 である。
それにもかかわらず、UVフィルターは市場から消えなかった。むしろ、新しい役割——レンズ保護(Lens Protection)——を得て、フィルター市場で最も多く販売される製品カテゴリへと変貌したのだ。
レンズ保護フィルターの起源と普及
「レンズの前面にフィルターを付けて保護する」という考え方自体は、フィルム時代から存在していた。しかしそれが「レンズを買ったらまず保護フィルターを付ける」という広範な慣習として定着したのは、デジタルカメラの普及以降 である。
その背景には以下の要因がある。
1. レンズの高価格化
デジタル一眼レフ・ミラーレスカメラ用の交換レンズは、フィルム時代に比べて高性能化・高価格化が進んだ。10万円を超えるレンズは珍しくなく、数十万円のレンズも一般的だ。高価なレンズの前玉(前面のガラス素子)に傷がつくリスクを軽減する手段として、数千円の保護フィルターは「安い保険」として訴求力を持った。
2. カメラ販売店のセット販売
日本のカメラ量販店では、カメラやレンズの購入時に保護フィルターをセットで勧める販売手法が広く行われた。「レンズを買ったら保護フィルターも一緒に」という接客は、ケンコー・トキナーやマルミの売上に大きく貢献した。
3. メーカーによる専用製品ラインの確立
フィルターメーカー各社は、紫外線カットよりもレンズ保護を主目的とした製品ラインを確立した。
| メーカー | 主な保護フィルター製品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| ケンコー・トキナー | PRO1D plus プロテクター、Zéta Quint プロテクター | 撥水・撥油コーティング、低反射マルチコート |
| マルミ光機 | EXUS Lens Protect、EXUS Lens Protect SOLID | 帯電防止コーティング、強化ガラス(SOLIDモデル) |
| HOYA | HD PROTECTOR、HD nano Mk II UV | 強化ガラス、ナノコーティング |
| B+W | 007 Clear MRC nano | MRC nano(多層反射防止+ナノコート)、真鍮リング |
| Carl Zeiss | T* UV Filter | Zeiss T*コーティング |
注目すべきは、ケンコー・トキナーやマルミが販売する保護フィルターの多くが、もはや「UV」の名を冠していないことだ。製品名は「プロテクター(Protector)」や「レンズプロテクト(Lens Protect)」となっており、紫外線カット機能よりも透明度の高さ、反射防止、撥水・撥油性能を訴求ポイントとしている。
「保護フィルター論争」——付けるべきか、付けざるべきか
レンズ保護フィルターは、カメラ愛好家の間で最も激しい論争を呼ぶテーマのひとつでもある。
この論争はインターネット上で繰り返し議論されており、結論が出ることはおそらくない。写真家のスタイル、撮影環境、リスク許容度によって最適解は異なる。ただし、保護フィルターがフィルター市場で最大の売上カテゴリであるという事実は、多くのユーザーが「付ける派」であることを示唆している。
生き残ったフィルターたち——デジタルでも代替不可能な光学効果
デジタル技術がいかに進歩しても、物理法則に基づく光学効果はソフトウェアでは完全に再現できない。この原理により、いくつかのフィルターはデジタル時代を生き延び、むしろ需要を拡大させた。
偏光フィルター(CPL)——不動の王者
第1章で述べた通り、偏光フィルター(CPL) はデジタル時代においても「ソフトウェアでは再現不可能な効果」を持つ代表的なフィルターだ。
- 反射除去——水面・ガラス・葉の表面の反射を物理的に除去する。Photoshopでは反射の「下」にある像を生成することはできない
- 空の暗化——偏光した大気散乱光を遮断して空を暗くする。チャンネル操作では不自然になりやすい
- 色彩の飽和度向上——反射光を除去することで本来の色が現れる
CPLは、デジタル時代に入ってもフィルターメーカー各社の主力製品であり続けている。
NDフィルター——長時間露光とシネマトグラフィーの必需品
NDフィルター も、デジタルでは代替不可能なフィルターの筆頭である。
光を物理的に減衰させる以外に、シャッタースピードを遅くする方法はない(ISO感度の下限やレンズの最小絞りには限界がある)。そのため、以下の用途でNDフィルターは不可欠であり続ける。
- 長時間露光——流れる水を絹のように、動く雲を帯状に描く風景写真の技法
- 映像撮影——動画では「180度シャッター角」の法則により、フレームレートの2倍程度のシャッタースピードが理想とされる。明るい屋外で開放絞りを維持しながらこれを実現するにはNDフィルターが必要
- 大口径レンズの開放撮影——f/1.4やf/0.95のレンズを日中屋外で開放で使うためには、光量を大幅に削減する必要がある
特に2010年代以降、動画撮影 の普及に伴ってNDフィルターの需要は拡大した。ミラーレスカメラでの動画撮影が一般的になり、YouTubeやSNSでのコンテンツ制作が広がるにつれ、かつてはプロの映像制作者しか使わなかったNDフィルターが、アマチュアクリエイターにも浸透していった。
ハーフND(グラデーションND)——風景写真家の標準装備
ハーフNDフィルター(GND: Graduated Neutral Density) は、デジタル時代に一度は「不要」とみなされかけた。デジタルカメラのダイナミックレンジの拡大と、HDR(High Dynamic Range)合成技術の発達により、露出ブレンディングで同等の効果が得られるようになったためだ。
しかし現実には、ハーフNDフィルターは風景写真家の間で根強い人気を保っている。
理由はシンプルだ。「1枚のフレームで、1回のシャッターで、空と地面の露出差を解決する」 という即時性は、複数枚撮影してパソコンで合成するワークフローよりも、多くの写真家にとって直感的で魅力的なのだ。特に日の出・日の入りの一瞬を逃したくない場面では、フィルター1枚の即時性に勝る手段はない。
ディフュージョンフィルター——第3章で見た復権
第3章で詳述した通り、ディフュージョンフィルター(ブラックミスト、Black Pro-Mist等)は、デジタルの「完璧すぎる」描写への反動として爆発的に復権した。これらも「光がセンサーに到達する前に物理的に拡散する」という効果を持ち、後処理のグロー効果とは本質的に異なる。
中国フィルターメーカーの台頭——2000年代後半からの産業革命
「安かろう悪かろう」からの脱却
2000年代後半から2010年代にかけて、カメラアクセサリー市場に大きな変化が訪れた。中国のフィルターメーカーが、品質と価格の両面で急速に競争力を高めた のだ。
かつて「中国製フィルター」といえば、色かぶり、ムラ、低いコーティング品質が当たり前で、真剣な写真家からは敬遠されていた。しかし、いくつかのメーカーが光学ガラスの品質管理、マルチコーティング技術、精密な金属リング加工に投資し、日本・ドイツのメーカーに匹敵する品質 を、大幅に低い価格で提供し始めた。
NiSi——角型フィルターシステムの新標準
NiSi(ニシ / ナイシー / 耐司) は、2005年に中国・珠海市 で設立されたフィルターメーカーである。創業から20年で、世界のフィルター市場における主要プレーヤーのひとつに成長した。
NiSiの成功の鍵は、角型フィルターシステム への集中投資だった。風景写真家向けの100mmフィルターシステム、超広角レンズ用の150mmシステム、映画撮影用の4×5.65インチフィルターなど、プロフェッショナル向けの製品群を高品質・中価格帯で展開した。
NiSiの製品的特徴は以下の通り。
- 光学ガラス製NDフィルター——樹脂製が多かったCokinに対し、NiSiはガラス製のNDフィルターを主力とし、色かぶりの少なさを訴求
- ナノコーティング——撥水・撥油・反射防止コーティングを標準装備
- グローバル展開——日本ではビックカメラやヨドバシカメラに常設展示。米国、欧州、オーストラリアにも販売拠点を設置
- 年間10〜20の新製品開発——20以上の国際特許を保有
- 年間200回以上のワークショップ——風景写真家コミュニティとの密接な関係構築
NiSiは従来のCokinやLEE Filtersの市場に、高品質ガラスフィルターを低価格で投入することで、風景写真用フィルター市場の勢力図を塗り替えた。
関連リンク:公式サイト(日本語)
Haida——2007年から始まったもうひとつの挑戦
Haida(ハイダ / 海大) は、2007年に中国・寧波市 で設立されたフィルターメーカーである。社名は中国語の「海納百川(すべての川は海に注ぐ)」に由来する。
Haidaは設立当初からNDフィルターとフィルターホルダーシステムに注力し、特にヨーロッパ市場で急速にシェアを拡大した。
Haidaの主な業績。
- 2010年——PROII マルチコーティングNDフィルターを発売。欧州市場に本格参入
- 2012年——第2世代の撥水・撥油PROII バリアブルNDフィルターを発売
- 2013年——世界で初めてマルチコーティング光学ガラス製グラデーションNDフィルターを開発(同社主張)。これが業界標準となる
- 2018年——「Red Diamond(レッドダイヤモンド)」シリーズを発売。フラッグシップ製品ラインを確立
現在、Haidaは世界40カ国以上に販売網を持ち、特に風景写真家の間でNiSiと並ぶ主要ブランドとしての地位を確立している。
関連リンク:公式サイト(日本語)
K&F Concept——圧倒的なコストパフォーマンス
K&F Concept は、2012年に中国・深圳で設立 されたカメラアクセサリーメーカーで、フィルター、三脚、レンズアダプターなど幅広い製品を展開する。
K&F Conceptのフィルター事業の特徴は、Amazon等のECプラットフォームを主要販路とし、圧倒的な低価格で市場に参入 したことだ。特にNDフィルター、バリアブルNDフィルター、ブラックディフュージョンフィルターは、日本やドイツのメーカー製品の半額以下で提供され、「初めてのNDフィルター」「初めてのミストフィルター」として多くのアマチュアユーザーに選ばれた。
品質面では上位メーカー(B+W、HOYA、NiSi等)に及ばない部分もあるが、「この価格でこの品質なら十分」という評価を多くのレビューで得ており、エントリー市場での存在感は極めて大きい。
関連リンク:公式サイト(日本語)
中国メーカー台頭の意味
中国フィルターメーカーの台頭は、フィルター産業に以下のような構造的変化をもたらした。
1. 価格の民主化
かつてはB+WやHOYAの高品質フィルターに数万円を支払うか、低品質な安物で妥協するかの二択だった。NiSiやHaidaは、中間価格帯で高品質 という選択肢を創出し、K&F Conceptは 低価格帯でも実用的な品質 を実現した。
2. 技術的キャッチアップ
ナノコーティング、マルチコーティング、撥水・撥油処理、IRカットND(赤外線をカットするND)など、かつては日本・ドイツメーカーの専売特許だった技術が、中国メーカーにも行き渡った。
3. 既存メーカーへの圧力
日本のマルミ光機が経営再建を経験し、Cokinが角型フィルター市場でのシェアを失い、LEE Filtersがより高価格帯へ移行するなど、既存メーカーは戦略の見直しを迫られた。
現代のフィルター市場——残ったものと新たな潮流
2020年代のフィルター市場構造
デジタルの大淘汰と中国メーカーの台頭を経て、2020年代のフィルター市場は以下のような構造に落ち着いている。
| カテゴリ | 市場規模 | 主要プレーヤー | トレンド |
|---|---|---|---|
| 保護フィルター | 最大 | ケンコー・トキナー、マルミ、HOYA、B+W | 撥水・撥油コート、強化ガラス、ナノコート競争 |
| CPL(偏光) | 大 | B+W、HOYA、ケンコー、NiSi、Haida | 薄型化、超広角対応 |
| ND(丸型) | 大(拡大中) | HOYA、B+W、NiSi、K&F Concept、Haida | 動画需要で拡大。バリアブルNDの品質向上 |
| ND(角型システム) | 中 | NiSi、LEE Filters、Haida、Kase | 光学ガラス化、マグネット装着 |
| ディフュージョン / ミスト | 中(急拡大中) | ケンコー(ブラックミスト)、Tiffen、K&F、PolarPro | 「シネマティック」トレンドで爆発的成長 |
| 特殊効果(クロス等) | 小 | ケンコー、Tiffen | 縮小傾向だがレトロブームで微増 |
| 色温度変換 / CC | 極小 | —— | ほぼ消滅。映画撮影の一部で残存 |
マグネットフィルターの潮流
2010年代後半から、フィルターの装着方式に新しい潮流が生まれた。マグネットフィルター である。
従来のスクリュー式(ねじ込み式)フィルターは、着脱に時間がかかる、暗所での操作が難しい、過度に締めると外れなくなるといった問題があった。マグネットフィルターは、レンズに装着したアダプターリングに 磁力でワンタッチ装着 する方式で、これらの問題を解決する。
- Kase(カセ)——マグネットフィルターシステムの先駆的メーカーのひとつ
- K&F Concept——マグネット式NDフィルターを低価格で展開
- Urth——マグネット式CPL・NDフィルターをサステナブルなブランドイメージとともに展開
- NiSi——スクリュー式とマグネット式の両方に対応するフィルターを開発
マグネットフィルターは、特に 複数のフィルターを頻繁に交換する映像制作者 や、過酷な環境で手袋をしたまま操作する風景写真家 から高い評価を受けている。
クリップインフィルター——ミラーレス時代の新形態
ミラーレスカメラの普及に伴い、クリップインフィルター(Clip-In Filter) という新しい形態も登場した。
クリップインフィルターは、レンズの前面ではなく カメラのマウント部(レンズとセンサーの間) に装着するフィルターだ。
- 台湾のSTC Optics がミラーレスカメラ向けクリップインフィルターの先駆者として知られる
- レンズの口径に依存しないため、1枚のフィルターを すべてのレンズで共用 できる
- 超広角レンズや出目金レンズ(前玉が大きく突出したレンズ)にも使用可能
- 天体写真用の光害カットフィルターとして特に人気が高い
関連リンク:公式サイト(英語)
フィルターの未来——消えないもの、生まれるもの
レンズフィルターの150年近い歴史を通じて見えてくるのは、フィルターは 「技術の変化に応じて役割を変えながら存続する」 道具だということだ。
消えないフィルター
以下のフィルターは、予見しうる将来にわたって需要が維持される。
- CPL——反射除去の物理法則は変わらない
- ND——光を物理的に減らす唯一の手段であり続ける。動画撮影の拡大とともにむしろ需要は増加
- 保護フィルター——レンズの高価格化が続く限り需要は衰えない
- ディフュージョン——「デジタルの冷たさ」への反動は構造的なトレンド
新しい可能性
- 電子制御バリアブルND——液晶技術を応用し、電子的にND濃度を変えるフィルター。すでにいくつかの製品が市場に存在するが、品質とコストの面で課題が残る
- AIとフィルターの融合——将来的には、カメラが撮影シーンを認識し、最適なフィルター効果を自動的に提案するシステムも考えられる
- コンピュテーショナルフォトグラフィーとの共存——スマートフォンの計算写真技術(ナイトモード、ポートレートモード等)が進化する一方で、光学フィルターでしか得られない「物理的な光の操作」の価値は、むしろ差別化要素として高まる可能性がある
レンズフィルター・クロニクル
- 写真用フィルターの誕生——ゼラチンフィルターから偏光フィルターへ(1877〜1950年代)レンズフィルター
- フィルターの形を追って——Seriesフィルターからスクリューマウント、角型フィルター革命へ
- 特殊効果フィルターの世界——映画と写真の表現を変えたフィルターワーク
- デジタル時代のフィルター——大淘汰、保護論争、そして復権
参考・典拠一覧
- Wikipedia — “Photographic filter” https://en.wikipedia.org/wiki/Photographic_filter
- K&F Concept — “UV Filter: What UV Protection Filter Should You Buy?” https://www.kfconcept.com/blog/uv-protection-filter-for-lens
- MidOpt — “History of Filters” https://midopt.com/history/
- NiSi Optics — “About NiSi” https://en.nisioptics.com/about-nisi
- NiSi Optics USA — “Why Choose NiSi?” https://nisiopticsusa.com/why-nisi/
- NiSi Europe — “Why NiSi?” https://nisioptics.eu/opinions-nisi-quality-reviews/
- Haida — “About Us” https://www.haidaphoto.com/en/about.html
- Haida — “Development Path” https://www.haidaphoto.com/en/history.html
- Tiffen — “Our Story” https://tiffen.com/pages/our-story
- Reddit / r/photography — “When did UV filters make a comeback?” https://www.reddit.com/r/photography/comments/1jpcli1/when_did_uv_filters_make_a_comeback/
- Fstoppers — “Protecting Your Lenses With UV Filters” 628072
- The Phoblographer — “Why I Love Using UV Filters on My Camera Lenses”(2023年10月3日) https://www.thephoblographer.com/2023/10/03/why-i-love-using-uv-filters-on-my-camera-lenses/
- Improve Photography — “Haida Filter System: In-Depth Review” https://improvephotography.com/46928/haida-filter-system-in-depth-review/
- Market Report Analytics — “Growth Strategies in ND Filter Market: 2025-2033 Outlook”(2026年1月12日) 183512
- Kenko Global — “Company History” https://www.kenko-global.ca/company-history/
- Adorama — “What Every Digital Shooter Should Know About Optical Filters”(2015年9月25日) https://www.adorama.com/alc/what-every-digital-shooter-should-know-about-optical-filters/


