写真の裏側 #07 一軒の家にカメラは何台あるか——気づけば二桁、住まいの「カメラ化」を数える
3秒で読めるサマリ
- スマホ2台・PC1台・前後ドラレコ・カメラ付きインターホンなどを置いた2人世帯のモデルで、カメラは10〜13個。全国の平均や中央値ではない。
- この2人モデルではスマホのカメラが過半を占める。スマホの世帯保有率は91.8%だが、モデルでは1台あたり前面1+背面2〜3の計3〜4個を仮定する。
- 増加の主因はスマホの複眼化・ドライブレコーダーの普及・住まいの見守り/防犯化。いまや家の中には、「撮るためのカメラ」だけでなく「撮らないカメラ(監視・認識・通信)」が広がっている。
モデル世帯の置き方|平均世帯人員2.10人を参考に
全国の普及状況を、公的統計と業界団体調査で確認する。ただし、それぞれ調査時点・対象・分母が異なる。全国平均2.10人を参考に、後半では「2人・車1台」のモデルを置く。以下の平均値から、その家庭の機器数が自動的に決まるわけではない。
| 指標 | 値 | 出典・時点 |
|---|---|---|
| 総世帯数 | 約6,174.7万世帯 | 住民基本台帳ベース(2026-01-01) |
| 平均世帯人員 | 2.10人(一般世帯。減少が続く。最多 山形2.41人・最少 東京1.85人) | 総務省 令和7年国勢調査 人口等基本集計(2026-09-29公表)。速報値(総世帯ベース)は2.15人 |
| 自家用乗用車 世帯あたり普及台数 | 1.001台 | 自動車検査登録情報協会(2026-03末) |
| 乗用車 世帯保有率 | 71.9%(車を保有する世帯のうち複数保有30.5%) | JAMA 2025年度乗用車市場動向調査 |
図① モデル設定の参考となる普及データ

出典:総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計」、自動車検査登録情報協会、JAMA、総務省「令和7年通信利用動向調査」。作成:2026-10-09。
乗用車を保有する世帯は7割強だが、全てが1台保有ではない。本記事の「2人・車1台」は試算のための設定であり、全国の家庭を代表する実測値ではない。
※住民基本台帳の世帯数は2026年1月1日現在で約6,175万。2025年国勢調査の一般世帯数は約5,718万。時点・世帯の定義・集計方法が異なるため、両者を同一の分母として扱わない。
機器別に数える|レンズ単位で積み上げる
ここでは機器に搭載されたカメラモジュールを1個として数える。「レンズ」はその目印としての呼び方であり、レンズ内部の光学素子1枚ずつは数えない。家の中だけでなく、その世帯が使うスマホ・車・玄関機器も対象とする。赤外線カメラは含めるが、LiDARや単独の距離センサーは含めない。
下表の個数は、家庭が持つ機器数を仮定した数え方の例で、全世帯平均ではない。世帯保有率は「少なくとも1台を持つ世帯の割合」であり、平均保有台数にそのまま置き換えられない。PCの保有率も、カメラ付きPCの保有率を表すものではない。
| 機器 | 世帯普及/保有の前提 | 1台あたりカメラ数 | 1世帯に置くカメラ数の例(仮定) |
|---|---|---|---|
| スマートフォン | 世帯保有率91.8%・個人保有率78.9%(6歳以上)。個数欄はスマホ2台を置いた例 | 2〜4(前面1+背面1〜3。機種により異なる) | 約4〜8 |
| タブレット | 世帯保有率36.9%(令和7年通信利用動向調査)。個数欄では0〜1台を仮定 | 2(前面+背面を仮定) | 0〜2 |
| ノートPC/PC | PC世帯保有率64.4%。個数欄ではカメラ付きPCを0〜1台と仮定 | 1 | 0〜1 |
| デジタルカメラ/ビデオカメラ | 個数欄では0〜2台を仮定。CIPAの出荷台数は日本の家庭の保有率・保有台数には換算しない | 1 | 約0〜2 |
| カメラ付きインターホン | 個数欄では未設置〜カメラ付き玄関子機1台を仮定 | 1 | 約0〜1 |
| ドライブレコーダー | 車を保有・運転する男女1,000人の設置率63.8%(パイオニア、2024年11月)。個数欄は未設置〜3カメラ構成の例。JAMAの世帯保有率とは母集団が異なり、直接掛け合わせない | 1〜3(製品構成による。360度型でもカメラ数は固定ではない) | 0〜3(未設置を含む。前後2カメラ式なら2) |
| 防犯・見守りカメラ | 普及率・平均設置台数は確定できない。約22%という二次情報は試算に用いない | 1〜複数 | 0〜複数 |
| ロボット掃除機(カメラ搭載) | 個数欄ではカメラ1個搭載の掃除機を0〜1台と仮定 | 1 | 0〜1 |
| その他(Webカメラ・アクションカム・ベビーモニター等) | 世帯により大きく変動 | 1〜複数 | 約0〜数 |
図② 家庭に置くカメラ数の例(機器別)

本文の仮定表をもとにしたモデル試算。上下限は全世帯の分布ではない。作成:2026-10-09。
試算の目安:次節の2人モデルでは10〜13個。スマホ2台だけで6〜8個を占める。ただし、背面カメラが1個のスマホを2台置く場合は、このモデルの合計が8〜9個になる。二桁になるかどうかは機器構成に依存する。
モデル世帯3類型での試算
以下は実測分布ではなく、具体的な機器構成を置いたモデル試算。保有していない機器は0個として、自分の家庭の構成に置き換えて読む。
| モデル世帯 | 主な機器とカメラ数 | カメラ数(機器構成を仮定した試算) |
|---|---|---|
| 単身モデル(1人) | スマホ1台(背面2〜3+前面1)+ノートPC1+ロボット掃除機0〜1 | 4〜6個 |
| 2人モデル(車1台・以下の機器を保有) | スマホ2台(計6〜8)+PC1+ドラレコ前後2+カメラ付インターホン1+見守り0〜1 | 10〜13個 |
| 子育てモデル(3〜4人・車1〜2台。構成例) | 18個の例:スマホ3台×3=9+タブレット2+PC1+前後ドラレコ2+インターホン1+ベビーモニター1+外付けカメラ2。25個の例:スマホ4台(3+3+4+4=14)+タブレット2+PC1+車2台の前後ドラレコ計4+インターホン1+ベビーモニター1+外付けカメラ2。外付けカメラは他の機器と重複計上しない | 18〜25個(上記2構成の例。分布の上下限ではない) |
図③ モデル世帯3類型のカメラ数

本文のモデル試算(機器構成を仮定)。子育てモデルの18個・25個は構成例で、分布の上下限ではない。作成:2026-10-09。
2人モデルの合計は、スマホ6〜8+PC1+ドラレコ2+インターホン1+見守り0〜1=10〜13個。子育てモデルでは20個を超える構成も作れるが、その頻度は本記事では確認していない。子育てモデルの18個構成では、スマホ9個はちょうど半数であり、全ての類型で「過半」とは言えない。
なぜこんなに増えたか|3つのドライバー
- ① スマホの複眼化:かつて携帯のカメラは1個。現在のスマホには、背面の広角・超広角・望遠などに前面カメラを加え、1台に複数のカメラを搭載する機種がある。台数は機種によって異なる。世帯保有率91.8%(テレビの90.1%を上回った)で、これだけで世帯カメラ数の土台が押し上がる。
- ② ドライブレコーダーの普及:あおり運転・当て逃げ対策でドライブレコーダーが普及し、車を保有・運転する調査対象者の63.8%が設置している(パイオニア、2024年11月調査)。前後2カメラ式なら2個で、360度型は製品によりカメラ数が異なる。JEITA・JDRCの参加9社による2025年度のコンシューマー用国内出荷は約323万台。ただし出荷台数は稼働台数やカメラモジュール数ではない。
- ③ 住まいの見守り/防犯化:カメラ付きインターホン、ネットワーク見守りカメラ、ロボット掃除機のナビカメラなど、「撮影」ではなく「監視・認識」目的のカメラが家庭に浸透した。コネクティッドホームアライアンスの2024年資料にはスマートホームデバイスの利用率4.7%という値もあるが、カメラ付き機器だけの世帯普及率ではない。ロボット掃除機でもカメラ非搭載機は数えない。
撮るカメラ、撮らないカメラ|数え方で答えが変わる
- 「カメラ」の定義で答えが変わる:カメラモジュール単位で数えるか、機器単位で数えるかで答えは変わる。例えば2人モデルの機器数は5〜6台(前後2カメラ式のドラレコは1台と数える)だが、カメラ数は10〜13個。本記事ではカメラ数を主軸に数える。
- “撮るカメラ” vs “撮らないカメラ”:ここで「撮らない」は、文字どおり撮影・録画しないという意味ではなく、「人が構えて作品や思い出を撮るためのものではない」という意味。ドラレコや見守りカメラは映像を撮影・記録する。PCは通信、インターホンは確認、掃除機は認識・移動など、カメラの用途は広がっている。
- プライバシーと所有の無自覚:自分の家に何台あるか即答できる人は少ない。「数えてみる」こと自体が、住まいのカメラ化とプライバシーを考える入り口になる。
写真・映像好き向け補足
- 家庭内のカメラと、写真・映像を撮る専用機の市場は分けて考えたい。CIPA統計のデジタルカメラ総出荷(国内向け+海外向け)は2025年に約944万台・約8,806億円。前年比は台数111.2%・金額106.8%で、両方とも増えた。この統計だけで購入動機や家庭内の保有台数までは判断できない。
- 家中のレンズの多くは、裏側で同じ部品を共有している。「そのレンズの奥の撮像素子はどこ製か」を辿ると、カメラ産業のバリューチェーンが見えてくる。
関連記事

参考文献・出典
- 総務省「令和7年通信利用動向調査」結果概要(図表1-1・1-4、2025年8月末調査):スマホ世帯保有率91.8%、テレビ90.1%、PC64.4%、タブレット36.9%。スマホ個人保有率78.9%は6歳以上が対象。結果概要。
- 総務省統計局「令和7年国勢調査 人口等基本集計」(2026-09-29公表):一般世帯数57,181,619、1世帯当たり人員2.10人、山形2.41人・東京1.85人。結果概要・表I-4-1/I-5-1。全国平均はモデル設定の参考で、カメラ数の分布を示すものではない。
- 自動車検査登録情報協会「令和8年 自家用乗用車の世帯当たり普及台数」(2026-08-18公表):2026年3月末の自家用乗用車61,839,584台÷2026年1月1日の世帯数61,747,140=1.001台(公表値)、13年連続減少。公表資料。
- JAMA「2025年度乗用車市場動向調査」(2025年9月調査):世帯保有率71.9%、乗用車保有世帯のうち複数保有30.5%。今回からWEB調査に変更され、前回との単純な時系列比較はできない。公表資料。
- パイオニア「ドライブレコーダーの利用実態、“ヒヤリハット”に関する調査」(2024-12-04公表):自宅に車を保有・運転する男女1,000人、インターネット調査、2024-11-14〜17。設置率63.8%。公表資料。Nextage・ソニー損保の値は本試算に使用しない。
- JEITA/JDRC「2025年度ドライブレコーダー国内出荷実績」:コンシューマー用3,232,928台・業務用253,629台・合計3,486,557台。参加9社の機器出荷統計。統計表・品目定義。
- CIPA「2025年年間実績表」:総出荷9,438,876台(前年比111.2%)・880,574,519千円(106.8%)。本文では約944万台・約8,806億円と丸めた。年間統計表。
- USENの記事に一般家庭約22%の記載はあるが、原調査・調査年・分母を特定できず、本記事の試算には不使用。該当記事。
- コネクティッドホームアライアンス「スマートホーム普及に向けて」(2024):10〜60代の男女20,000人を対象とするデバイス利用率。カメラ付き機器の世帯保有率としては使わない。資料。
- 資料の再確認:2026-10-09。カメラの個数は筆者が機器構成を仮定した試算。未確認の普及率を、全国平均の算定根拠には使用していない。

