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現行フィルムカメラ——2025年、新品で買えるフィルムカメラの世界地図 | フィルム・クロニクル(16)

産業分析
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フィルム・クロニクル(16)

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2024年は「新しいフィルムカメラの年」だった。 Pentaxが20年ぶりの新型フィルムカメラを発売し、香港のMiNT CameraがRolleiブランドを復活させ、Lomographyは次世代コンパクトを発表した。2020年代半ば、フィルムカメラは「中古で探すもの」から「新品で選べるもの」へと確実に変わりつつある。だが、その風景は20世紀のそれとはまるで異なる。大手日本メーカーの一眼レフは消え、代わりに小規模メーカーやインディーズブランドがニッチなカメラを世に送り出す。本章では、2025年現在、新品で購入できるフィルムカメラの全体像を描く。


Leica——フィルムカメラを「止めなかった」唯一の高級メーカー

3つのフィルムM型カメラ

ドイツ・ヴェッツラーのLeicaは、デジタル時代においてもフィルムカメラの製造を一度も中断しなかった唯一の高級カメラメーカーである。2025年現在、Leicaは3機種のフィルムカメラを現行ラインナップに据えている。

  • Leica M-A(Typ 127)——露出計なし、完全機械式のレンジファインダーカメラ。電池不要で動作する究極のミニマリズムモデル。ブラッククローム仕上げで、外装にはロゴ以外の刻印がない。価格は約5,500ドル(ボディのみ)
  • Leica MP(0.72倍ファインダー)——TTL露出計を内蔵した機械式レンジファインダー。真鍮削り出しのトッププレートとボトムプレート、巻き上げクランク、フィルム巻き戻しクランクなど、M3時代の製造品質を現代に引き継ぐ。2003年の発売以来、継続生産されている
  • Leica M6(2022年再発売)——2022年10月に発表された「復刻版」M6。外観は1984年のオリジナルM6を踏襲しつつ、内部はMPベースにアップグレードされている。真鍮製トッププレート、改良型ファインダー、現代的なメーター回路を搭載。価格は約5,295ドル

この3機種はいずれもドイツ・ヴェッツラーで手作業で組み立てられる。共通するのはMマウントレンズシステムを使用すること、そしてすべてが機械式シャッターを採用している点である(M6とMPの露出計は補助的な機能であり、電池がなくてもシャッターは切れる)。

Leicaフィルムカメラの市場的意味

Leicaが2023年に生産したフィルムカメラは約5,000台——M6とMPの合計である。2015年と比較すると10倍の生産量だという。フィルムカメラ市場全体から見れば微量だが、1台あたり5,000ドル超という価格帯を考えれば、Leicaにとって無視できない事業規模である。

Leicaのフィルムカメラが持つ意味は、単なる「ノスタルジー商品」を超える。Mマウントという光学システムの継続性を担保している点が重要だ。1954年のLeica M3以来、70年にわたって互換性を維持してきたMマウントレンズは、デジタルのM11でもフィルムのM-Aでも同じように使える。フィルムカメラの存続は、このレンズエコシステムの価値を高める戦略的選択でもある。

なお、カメラ産業全体の地政学的変動については、姉妹連載「カメラ覇権の地殻変動」で詳述している。

Leica MP 10302 35 mm Rangefinder Camera
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Pentax 17——大手メーカー復帰の衝撃

20年ぶりの新型フィルムカメラ

2024年6月、リコーイメージング(Pentaxブランド)はPENTAX 17を発売した。日本の大手カメラメーカーによるフィルムカメラの新製品は、実に20年以上ぶりのことである。

PENTAX 17はハーフフレームカメラだ。通常の35mmフィルム1コマ(36×24mm)を半分に分割し、17×24mmのフレームで撮影する。1本の36枚撮りフィルムから最大72枚の写真が撮れる計算になる。画像は縦位置で、スマートフォンの写真と似たアスペクト比を持つ。「17」という名前は、このフレーム幅17mmに由来する。

主なスペックは以下のとおり。

  • フォーマット:35mmハーフフレーム(17×24mm)
  • レンズ:25mm F3.5(3群3枚)、35mm判換算で約37mm相当
  • フォーカス:ゾーンフォーカス(6段階)
  • 露出:プログラムAE、露出補正±2EV
  • フィルム巻き上げ:手動レバー
  • ボディ:マグネシウム合金外装、エンジニアリングプラスチック
  • 電源:CR2リチウム電池×1
  • 価格:約500ドル(日本国内価格は約75,000円前後)

なぜハーフフレームだったのか

Pentaxがフルフレームの35mmカメラではなくハーフフレームを選んだ背景には、複数の戦略的判断がある。

第一に、フィルムコストの低減。2020年代、フィルム1本の価格は高騰しており(詳しくは第18章で扱う)、36枚撮りが72枚撮りになるハーフフレームは、1枚あたりのコストを半減させる。フィルム初心者にとって、これは大きな訴求力を持つ。

第二に、縦位置のデフォルト化。ハーフフレームの画像は自然に縦位置になり、InstagramやTikTokに最適化された構図となる。Pentaxは「SNS世代のためのフィルムカメラ」という明確なポジショニングを意識している。

第三に、差別化。中古市場にあふれる35mmフルフレームカメラとは異なるフォーマットを提供することで、「中古より新品を選ぶ理由」を明確にした。

PENTAX 17は発売後、予想を大幅に上回る販売を記録し、リコーイメージングは増産を検討すると発表した。フィルムカメラの「新製品」に対する潜在需要が、業界の想定以上に大きかったことを証明した製品である。

マルミ MARUMI レンズプロテクトフィルター 40.5mm S-5
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Rollei 35AF——香港から蘇ったドイツの名機

MiNT Cameraという存在

MiNT Cameraは香港を拠点とするカメラメーカーで、創業者のゲイリー・ホーが率いる。元々はPolaroid SX-70カメラの修理・改造(SLR670シリーズ)やInstaxカメラ(InstantKon RF70)で知られていたが、2024年、35mmフィルムカメラ市場に本格参入した。

その第一弾がRollei 35AF——1966年に登場した伝説的コンパクトカメラ「Rollei 35」の現代版である。

スペックと特徴

  • フォーマット:35mmフルフレーム
  • レンズ:35mm F2.8(5枚構成ガラスレンズ)
  • フォーカスLiDARオートフォーカス(レーザー測距)
  • 露出:自動露出+マニュアル露出、露出補正±2EV
  • シャッター速度:1秒〜1/500秒、LT(ロングタイム)モードで最大60秒
  • ファインダー:光学ビューファインダー(0.5倍、視野率90%)
  • フィルム巻き上げ:手動
  • 表示:OLEDディスプレイ(フィルムカウンター、露出アシスト、ISO設定)
  • サイズ:104×75×56mm、重量242g(電池別)
  • 価格:クローム799ドル、ブラック828ドル

注目すべきはLiDAR(レーザー測距)によるオートフォーカスの採用である。フィルムコンパクトカメラでLiDARを使用するのは極めて珍しく、従来の赤外線AFやコントラストAFとは異なるアプローチだ。

さらに興味深いのは、レンズ設計に引退したPentaxのエンジニアが協力したという事実である。香港のインディーメーカーが日本の光学技術者の知見を借りて、ドイツの伝説的カメラを復活させる——このクロスボーダーな開発体制は、2020年代のカメラ産業の変容を象徴している。


Lomography——カメラメーカーとしての進化

LC-A+の終焉とMC-Aの誕生

前章で触れたLomographyは、フィルムメーカーであると同時にカメラメーカーでもある。2025年、同社のカメララインナップに大きな転換が訪れた。

LOMO LC-A+が生産終了となったのである。1984年のソ連製オリジナルLOMO LC-Aから数えて40年以上にわたる歴史に幕を下ろした。LC-A+はLomographyの原点であり、「Don’t Think, Just Shoot」という哲学を体現するカメラだった。

その後継として2025年に登場したのがLOMO MC-Aである。35mmオートフォーカスコンパクトカメラで、32mm F2.8レンズを搭載する。LC-A+が持っていた「ゾーンフォーカス+AE」という構成から、オートフォーカスへとモダナイズされた。

現行Lomographyカメラ群

2025年現在のLomographyカメララインナップは多岐にわたる。

  • LOMO MC-A——35mm AF コンパクト。LC-A+の後継
  • Diana F+——120フィルム対応のトイカメラ復刻版。ピンホールモード搭載
  • Lomomatic 110(2024年発売)——110フィルム対応カメラ。ガラスレンズ、自動露出
  • LomoInstantシリーズ——Fujifilm Instaxフィルム対応のインスタントカメラ
  • Simple Useシリーズ——使い捨て型だがフィルム交換可能なカメラ

Lomographyのカメラ戦略は一貫している。「真面目すぎないフィルムカメラ」を、手の届く価格で提供すること。完璧な描写よりも「撮ること自体の楽しさ」を優先する設計思想は、デジタル世代にとってのフィルムカメラの入口として機能している。


Kodakブランドカメラ——ライセンスビジネスの光と影

RETOとKodakの関係

2020年代に「Kodak」の名を冠するフィルムカメラが複数発売されている。だが、これらのカメラを製造しているのはKodak本体ではなく、香港の**RETO Production Ltd.**である。KodakブランドはRETO社にライセンス供与され、RETO社が設計・製造・販売を行う。

  • Kodak Ektar H35——ハーフフレームカメラ。固定焦点(22mm相当)、固定絞りF9.5、固定シャッター速度1/100秒。フラッシュ内蔵。約50ドルという価格が最大の武器。使い捨てカメラ感覚で使えるエントリーモデルとして世界的にヒットした
  • Kodak Ektar H35N——H35の改良版。レンズにガラスを採用し、ファインダーも改善
  • Kodak Snappic A1(2025年発売)——フルフレーム35mm。自動露出、コンパクトなボディ

これらは「本格的なカメラ」というよりは「フィルム体験への入口」として設計されている。光学性能は限定的だが、フィルム初心者にとっての最初の一台としては最も低い参入障壁を提供する。

ライセンスモデルの意味

Kodakブランドのカメラが「Kodakが作っている」わけではないという事実は、前章で見た「製造とブランドの分離」のカメラ版である。Kodakは自社名のブランド力を活用し、フィルムエコシステムの入口(=カメラ)をサードパーティに委ねることで、本業であるフィルム販売の需要を下支えする。RETO社にとっては、「Kodak」という圧倒的な知名度がマーケティングコストを大幅に削減してくれる。双方にとって合理的なパートナーシップだ。

Kodak Ektar H35
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新興カメラメーカーたち

FilmNeverDie Nana Camera(オーストラリア)

メルボルンを拠点とするフィルムラボ兼コミュニティ「FilmNeverDie」が2024年に発売した35mmコンパクトカメラ。フィルム現像サービスを本業とする企業がカメラ製造に参入するという異例のケースである。ロール35AF、Pentax 17と並んで「2024年の新カメラ三銃士」として紹介されることが多い。

Analogue aF-1(オランダ)

アムステルダムのデザインエージェンシー「Analogue」が開発中の35mmオートフォーカス・コンパクトカメラ。2026年初頭のリリースを目標としている。自動フィルム巻き上げを備え、手頃な価格帯でのアクセシビリティを重視する。デザインエージェンシーがカメラメーカーになるという21世紀的な展開だ。

SilverBridges WideluxX(アメリカ)

俳優ジェフ・ブリッジスが共同設立した会社による、パノラマフィルムカメラの復活プロジェクト。日本のPanon Camera(パノンカメラ)が製造していたWidelux——回転レンズ式のパノラマカメラの現代版を開発中である。Panonの工場は20年前に焼失しており、完全な再設計となる。2026年のプロトタイプが公開されており、完全機械式のパノラマカメラとして注目を集めている。ハリウッド俳優がフィルムカメラの復活に私財を投じるという事実そのものが、フィルム写真が持つ文化的な吸引力を物語っている。


インスタントカメラ——「フィルムカメラ」の最大市場

Fujifilm Instax

現行フィルムカメラの市場を語るとき、インスタントカメラを無視することはできない。販売台数と売上高において、Fujifilm Instaxは世界で最も売れているフィルムカメラブランドである。

Instaxのラインナップは多岐にわたる。

  • Instax Mini(名刺サイズ)——mini 12、mini 99、mini Evoなど
  • Instax Wide(ワイドサイズ)——Wide 400など
  • Instax Square(スクエアサイズ)——SQ40など

FujifilmはInstax事業を戦略的に拡大しており、2023年度のInstax関連売上は1,500億円を超えた。足柄サイトへの115億円の設備投資で生産能力を50%増強するなど、Fujifilmにとってフィルム事業の中核はもはやInstaxである(第14章参照)。

富士フイルム チェキ インスタントカメラ instax mini 12
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Polaroid

Polaroidブランド(現在はPolaroid B.V.が運営)も複数のインスタントカメラを販売している。i-Type、600、SX-70、Goの各フォーマットに対応するカメラとフィルムを展開する。2024年にはPolaroid Flipなど新モデルも投入された。

インスタントカメラは「写真を撮ってすぐに手に取れる」という体験価値において、デジタルカメラとは根本的に異なるポジションを占めている。SNSでの共有が写真体験の中心になった時代だからこそ、「物理的なプリントが即座に出てくる」というアナログ体験が新鮮に映るのだろう。


使い捨てカメラ——最も身近なフィルム体験

見落とされがちだが、**レンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)**は2025年現在も製造・販売されている。

  • Fujifilm 写ルンです(QuickSnap)——1986年の初代発売以来、ほぼ途切れることなく生産されている。ISO 400、27枚撮り。日本国内のコンビニエンスストアでも購入可能
  • Kodak FunSaver——Kodakブランドの使い捨てカメラ。ISO 800、27枚撮り

使い捨てカメラは、フィルム写真への最も低い参入障壁である。カメラの知識がゼロでも、購入してシャッターを押すだけでフィルム写真が撮れる。2020年代のフィルムリバイバルにおいて、「写ルンです」は若い世代のフィルム体験の入口として再び重要な役割を果たしている。

フジカラーレンズ付フィルム 写ルンです スタンダードタイプ 27枚撮り
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消えた巨人たち——一眼レフの不在

Nikon F6の退場

2020年、NikonはF6の生産終了を発表した。1959年のNikon Fから始まったNikon Fシリーズ——60年以上にわたるフィルム一眼レフの歴史に終止符が打たれた瞬間である。F6はAF-Sレンズとの完全互換性、3D-RGBマルチパターン測光、1/8000秒の高速シャッターなど、フィルム一眼レフの技術的到達点とも言える完成度を持っていた。

Nikon F6の生産終了は、フィルム一眼レフカメラという製品カテゴリーの消滅を意味した。Canon、Minolta(Sony)、Pentax、Olympus——かつて一眼レフ市場を争った日本メーカーはすでに全社が撤退済みであり、F6はまさに「最後の一眼レフ」だった。

なぜ一眼レフは復活しないのか

フィルムリバイバルが進行しているにもかかわらず、フィルム一眼レフの新製品が登場する見込みはほぼない。その理由は明確だ。

  1. 製造コスト——一眼レフのミラーボックス、ペンタプリズム、メカニカルシャッターは精密機械加工を必要とし、少量生産では採算が合わない
  2. 中古市場の充実——Nikon F3、FM2、Canon AE-1、Pentax K1000など、名機が中古市場に豊富に存在する。新製品がこれらと価格・性能で競争するのは極めて困難
  3. サプライチェーンの消失——一眼レフ用のミラーボックスやフォーカシングスクリーンを製造できるサプライヤーが、すでに存在しないか大幅に縮小している

その結果、2025年の新品フィルムカメラ市場は、レンジファインダー(Leica)とコンパクトカメラ(Pentax 17、Rollei 35AF、Lomographyなど)が主役となっている。一眼レフは中古市場でのみ入手可能な「過去の製品」となった。


2025年の新品フィルムカメラ市場地図

カテゴリーメーカー/ブランド代表機種価格帯
高級レンジファインダーLeica(ドイツ)M-A、MP、M6$5,000〜$6,000+
プレミアムコンパクトMiNT Camera(香港)Rollei 35AF$800前後
ハーフフレームコンパクトRicoh/Pentax(日本)PENTAX 17$500
クリエイティブ系コンパクトLomography(オーストリア)LOMO MC-A、Diana F+、Lomomatic 110$60〜$300
エントリーコンパクトRETO(Kodakライセンス)Ektar H35、Snappic A1$40〜$100
インスタントFujifilm(日本)、PolaroidInstax Mini 12、Polaroid Now Gen 3$70〜$300
使い捨てFujifilm、Kodak写ルンです、FunSaver$15〜$25
開発中Analogue(オランダ)、SilverBridges(米国)aF-1、WideluxX未定

この表が示すのは、2025年のフィルムカメラ市場が極端な二極化を見せているという事実である。一方にはLeicaの5,000ドル超のレンジファインダー、他方にはKodak Ektar H35の50ドルというエントリーカメラ。その間を、MiNT、Pentax、Lomographyが埋めている。

20世紀のフィルムカメラ市場には、数千円の使い捨てカメラから数十万円のプロ用一眼レフまで、連続的な価格帯が存在した。Canon AE-1やNikon FM2のような「普通の人が買える、まともな性能のカメラ」が市場の中核だった。2025年には、その「中間層」がごっそり抜け落ちている。中古市場がこのギャップを埋めているのが現状だ(次章で詳述)。


小括——「誰がフィルムカメラを作るのか」という問いの変容

20世紀のフィルムカメラ市場は、日本メーカーの独壇場だった。Canon、Nikon、Pentax、Minolta、Olympus、Konica、Ricoh、Fujifilm——これらの企業が世界のカメラ市場を支配し、年間数千万台のフィルムカメラを出荷していた。

2025年のフィルムカメラ市場に日本メーカーの名前はPentax(リコーイメージング)Fujifilm(Instax)の2つしかない。代わりに台頭しているのは、ドイツのLeica、香港のMiNT Camera、オーストリアのLomography、オランダのAnalogue、オーストラリアのFilmNeverDie、そしてアメリカのSilverBridges——世界各地に散らばる小規模メーカーとインディーズブランドである。

この変容は、前章で見た「フィルム製造のファブレス化」と対をなす現象だ。フィルムもカメラも、かつての巨大メーカーによる大量生産体制から、小規模プレイヤーによるニッチ生産体制へと移行している。フィルム写真は、もはや「マス・マーケット」の製品ではない。だが、それは同時に、情熱とアイデアを持つ小さなチームが世界中で新しいカメラを生み出せる時代が来たことを意味している。

次章では、新品カメラの対極にある中古フィルムカメラ市場を分析する。2025年のフィルム写真家の大多数が使うカメラは、新品ではなく中古である。中古市場の価格高騰、偽物問題、修理インフラの維持——フィルムカメラの「セカンドライフ」が直面する課題と可能性を見ていこう。


フィルム・クロニクル

連載ガイド

Part I:銀塩写真の誕生と発展(19世紀〜20世紀前半)

Part II:フィルムの黄金時代(1950年代〜1990年代)

Part III:デジタルの衝撃とフィルムの退潮(1990年代〜2010年代)

Part IV:フィルムの復興(2010年代〜現在)

Part V:総括


出典・参考資料

  • Ricoh Imaging 公式プレスリリース「PENTAX 17」(2024年6月18日)
  • Leica Camera AG 公式サイト(leica-camera.com)
  • MiNT Camera 公式サイト(mint-camera.com / rollei35af.com)
  • Lomography 公式サイト(lomography.com
  • Kosmo Foto「Hello LOMO MC-A, goodbye LC-A+」(2025年11月)
  • Kosmo Foto「Leica sold 10 times as many film cameras in 2023 than it did in 2015」(2024年1月)
  • Kosmo Foto「MiNT Camera’s Rollei 35AF」(2024年6月)
  • PetaPixel「Mint Rollei 35AF Review: Style Over Substance」(2024年10月)
  • PetaPixel「The Analogue aF-1 is a New Point-and-Shoot Film Camera」(2025年9月)
  • PetaPixel「Nikon Has Finally Discontinued the F6」(2020年10月)
  • DPReview「Jeff Bridges unboxing the camera he’s been developing」(2026年3月)
  • FilmNeverDie「The New Era of Film Cameras 2024–2026」
  • 35mmc「New Film Cameras: The Lomography MC-A and SilverBridges WideluxX」(2025年10月)
  • Japan Camera Hunter「Film News – New Films for 2025」

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