REDCODE RAWと特許|動画RAWを縛った知的財産の構造|動画RAWコーデック解剖(6)

動画RAWコーデック解剖(6)

動画のRAWは、たんに画質を追い求めるための技術ではない。それは長いあいだ、一件の特許を軸に形づくられてきた市場でもあった。その中心にあったのがREDCODE RAW、ファイル拡張子でいえばR3Dである。RED Digital Cinemaは、圧縮したRAWを動画として連続記録するという発想を早くから製品化し、その中核を特許で押さえた。結果として、他社が内部で圧縮RAWを記録することは長く難しくなり、各社は外部レコーダーやライセンス取得といった回り道を強いられた。この章では、REDCODE RAWの技術的な中身と、それを支えた特許の構造、そこから生まれた数々の法廷闘争、そして2024年前後に訪れた大きな転換までを、特許文書と裁判記録という一次情報にできるだけ立脚して読み解く。

目次

REDCODE RAW(R3D)とは何か

REDCODE RAWは、REDが2007年の初代REDCODEカメラ「RED ONE」以来採用してきた、動画向けの圧縮RAW形式である。ファイル拡張子が.r3dであることから、現場ではしばしばR3Dと呼ばれる。

RAWとは、本来ならばセンサーから読み出したデベイヤー前のデータをそのまま保持する記録形式を指す。第1章で述べたとおり、RAWは色や露出を確定させず、後工程で自由に現像できる余地を残す点に価値がある。ただし、デベイヤー前のデータは情報量が多く、そのまま記録すればデータ量は膨大になる。第2章で見たように、この代償こそがRAWの宿命である。

REDCODE RAWは、この宿命に対して「RAWを圧縮する」という答えを出した。しかも、静止画を一枚ずつ扱うのではなく、動画として毎秒何十コマもの映像を連続で圧縮しながら記録する。ここがREDの技術的な要点である。

圧縮方式の変遷――ウェーブレットからDCTへ

REDCODE RAWは、初代RED One以来長らく、ウェーブレット変換を基礎とした圧縮方式を採ってきた。ウェーブレット変換は、画像を周波数成分に分解し、視覚的に目立ちにくい成分を大きく削っても見た目の劣化が少ないという性質を持つ。静止画のJPEG 2000などにも使われる考え方で、圧縮率を上げても破綻が緩やかに進むという利点がある。

REDCODE RAWは、この圧縮の強さを撮影者が段階的に選べる設計になっている。歴史的には3:1や5:1といった軽い圧縮から、12:1や18:1といった強い圧縮まで、REDCODE比として指定できた。圧縮率を上げればファイルは小さくなり長時間の記録がしやすくなる一方、動きの激しい被写体や細部でノイズや圧縮の痕跡が出やすくなる。撮影者は、作品の要求とストレージの都合を秤にかけてこの比率を決める。なお、こうした固定比率での指定は主にDSMC2までの世代の表現であり、KOMODOやV-RAPTORなどDCT世代の機種では、REDCODE HQ・MQ・LQ・ELQ(画質優先から容量優先まで)という名前付きの画質段階として整理し直されている。V-RAPTOR XL [X]の公式仕様でも、8K解像度でHQ・MQ・LQ・ELQを選べることが示されている。

そして、この圧縮方式はのちに大きく変わる。RED公式のR3D技術資料「Benefits & Evolution of REDCODE RAW」は、「ウェーブレットから離散コサイン変換(DCT)への移行」と題した節で、初代RED One以来ウェーブレット変換を用いてきたが、いまは圧縮の変換をウェーブレットからDCTへ変更したと明記している。DCTはJPEGでも使われる方式だが、ウェーブレットと同じく空間領域の画像を周波数領域へ移し、視覚的に重要な情報を効率よく符号化する。RED公式によれば、DCTを採用した最初の機種はRED KOMODO 6Kである。ウェーブレット変換が画像全体を一括して処理する必要があるのに対し、DCTは画像を小さなブロックに分割するため、一度に処理してメモリ上へ載せるデータが少なくて済む。この違いが消費電力と発熱の低減、そしてバッテリー駆動時間の延長につながり、KOMODOのような小型機に向いていた。デコードはR3D SDKが一手に引き受ける設計のため、REDはこうした変換方式の更新を、ユーザーのワークフローを大きく変えずに進めることができた。したがって、かつてフォーラムなどで語られてきた「R3DがDCTへ移行した」という見立ては、いまやRED公式の一次資料によって裏づけられる。ただしこの移行はKOMODO以降の世代を対象とするものであり、RED One以来のDSMC/DSMC2世代がウェーブレットで記録してきた事実と矛盾するわけではない。RED R3D SDKの技術解説(NVIDIA GTC 2019での実装解説を含む)が示すウェーブレットの三段構成、すなわちウェーブレット変換で画像を近似成分と詳細成分に分け、第一段でエントロピー符号化し、第二段でビットストリームにまとめるという流れは、この従来世代のパイプラインを説明したものである。

REDの特許は何を押さえたのか

REDの知的財産の中核にあったのが、米国特許 US 8,174,560 B2「Video camera」である。この特許の要旨は、視覚的に可逆な高圧縮を行う動画カメラに関するものである。具体的には、青と赤の画像データを、圧縮しやすくなるように変換したうえで圧縮して保存し、再生時には緑を先にデベイヤーしてから、その緑を手掛かりに赤と青を再構成する、という手法が記述されている。

この発明の巧妙な点は、たんに「RAWを圧縮する」という漠然とした概念ではなく、モザイク状のカラーフィルター配列を持つセンサーの出力を、圧縮効率が高まる形へ変換して動画として連続記録する、という具体的な組み合わせを押さえたところにある。第1章で見たベイヤー配列のデータは、緑が全体の半分を占め、赤と青がそれぞれ四分の一という偏りを持つ。この構造を利用し、緑を基準として赤青を効率よく圧縮・復元するという道筋が、特許のクレームとして守られた。

この結果、「圧縮したRAWを動画としてカメラ内部に記録する」という、いまでは当たり前に見える機能が、長いあいだ実質的にREDの独壇場になった。他社はこの領域に踏み込むたびにRED特許との衝突を避けられず、内部圧縮RAWをためらうか、外部出力やライセンスという別の道を選ぶことになった。

中核特許を支えた関連特許群と失効の時期

US 8,174,560 B2は単独で存在したわけではない。REDは2007年4月11日を優先日とする一連の継続出願によって、圧縮RAWをめぐる発明を複数の特許として重ねて押さえてきた。RED公式の特許一覧を見ると、V-RAPTORやKOMODOを含む各機種には、再審査を経た8,174,560 C1のほか、7,830,967、8,159,579、9,019,393、9,436,976、9,479,749といった多数の米国特許が適用されうると明示されている。さらに「その他のREDCODE関連技術」として、8,872,933、9,479,749、9,787,878が別掲されている。

このうち、他社との訴訟で繰り返し焦点になったのが米国特許 US 8,872,933 B2「Video camera」である。その主たるクレームは、少なくとも2Kの水平解像度を持つRAWの動画データを、毎秒およそ23コマ以上のフレームレートで、6対1以上の圧縮率で視覚的に可逆な形に圧縮して記録する、という組み合わせを押さえるものである。言いかえれば、2Kを超える解像度の圧縮RAW動画という、いまのシネマカメラが当然に備える領域そのものが、この一件のクレームによって長く守られてきた。Google Patentsの書誌情報によれば、この特許の優先日は2007年4月11日、2008年4月11日に出願された親出願(Ser. No. 12/101,882)の継続出願として2014年10月28日に登録され、予定満了日は2028年4月11日とされている。発明者はREDの創業者James Jannardと、REDCODEの開発者として知られるThomas Graeme Nattressの両氏である。

この満了予定日は、これまでフォーラムなどで語られてきた2028年に失効するという見立てに、一次情報からの裏づけを与える。中核特許の優先日から20年にあたる2028年4月11日を過ぎれば、この一群の特許は満了を迎える。2024年のNikonによる買収、2026年の日本での無効判断、そして2028年に見込まれる満了は、いずれも同じ方向、すなわち圧縮RAWの内部記録をめぐる法的な障壁が下がっていく流れを指し示している。

特許をめぐる主要な争い

REDの特許は、映像業界で何度も法廷の主題になった。時系列で追うと、その影響の大きさが見えてくる。

RED対Sony(2013年)

2013年、REDはSonyのF65、F55、F5を、圧縮RAWに関する特許侵害で提訴した。ハイエンドのシネマカメラを出す競合に対する、特許の効力を示す動きであった。

RED対Jinni Tech(2017年)

2017年には、英国のサードパーティ製メディアなどを手がけるJinni Techとの係争が起きた。Jinni Techは2017年2月10日にワシントン西部地区連邦地裁で訴えを起こした。RED側はそれに先立って別の地で提訴していたとされる。裁判資料はJustiaで公開されており、この争いが単なる噂ではなく実際の訴訟であったことを裏づけている。

Apple ProRes RAWとRED(2019年)

2019年5月、AppleはUSPTOに対し、RED特許の無効を求める申立て(IPR、当事者系レビュー。事件番号IPR2019-01065)を提出した。これはApple自身がProRes RAWを2018年に発表した文脈と無関係ではない。しかし同年11月8日、Appleの無効主張は不明確で不十分だとして、当事者系レビューを開始しない(institution却下)との判断が示され、RED特許は有効なまま維持された。ここでRED特許が生き残ったことは、その後数年の市場の空気を決定づけた。

RED対Kinefinity(2021年)

2021年1月、REDは中国のKinefinityを提訴した。KinefinityはKineRAWやCinemaDNGといった記録形式を採用していた。この訴訟は約8か月後、RED側が自主的に取り下げた。取り下げは将来の再提訴を妨げない形(without prejudice)であった。

RED対Nikon(2022年から2023年)

2022年、REDはNikonを提訴した。争点は、Z9のファームウェア2.0で解禁された内部圧縮RAWであった。Nikonは反論し、2024年1月には陪審審理が予定されたが、2023年4月に双方の合意で訴訟は取り下げられた。この和解的な決着が、翌年の劇的な展開の伏線になる。

2024年の転換とNikonによるRED買収

2024年3月7日、NikonはRED.comを買収し、100%子会社とした。前年に訴訟を取り下げていた両社が、こんどは資本関係で結ばれたのである。カメラ業界にとって、これは大きな驚きであった。RED特許によって内部圧縮RAWを阻まれていた側の代表格であったNikonが、その特許の持ち主そのものを傘下に収めた形になったからである。

この買収の意味は二重である。第一に、Nikonはシネマ向けの技術とブランドを一挙に手に入れた。第二に、動画RAWの内部記録を縛ってきた特許の主が、内部圧縮RAWを推し進めたい側に取り込まれた。市場を縛ってきた力の源泉が、その方向性ごと変わったのである。

2026年、日本での無効判断

RED特許をめぐる争いは、日本でも決着を見た。ただし、その中身は「米国特許そのものが無効になった」という単純な話ではない。正確に言えば、これはREDの中核特許 US 8,174,560 B2 に対応する日本のファミリー特許、すなわち特許第5231529号「ビデオカメラ」をめぐる争いであった。

発端は、この日本特許に対するPanasonicの無効審判請求である。Panasonicは令和4年(2022年)4月28日に無効審判を請求し(無効2022-800039号)、特許庁は令和6年(2024年)10月16日、請求項1から7と10から22を無効とする審決を下した。これに対してREDは、この無効審決の取消しを求めて審決取消訴訟を提起した(令和7年(2025年)2月19日)。

ここで、前節で述べた資本関係の変化が訴訟の当事者にも及ぶ。REDは係争のさなかの令和7年3月26日に、この日本特許をNikonへ譲渡して移転登録した。Nikonは同年4月28日に訴訟上の立場を承継して参加し、REDは訴訟から脱退した。結果として、かつて自社を縛っていた特許を買い取ったNikonが、こんどはその特許の有効性を守る側として法廷に立つ、という構図が生まれた。

知的財産高等裁判所第1部は、令和8年(2026年)6月30日に判決を言い渡した。争点は進歩性(特許法29条2項)であり、主たる引用例は米国公開特許公報 US 2006/0061822 A1 であった。裁判所は、引用発明の認定、一致点および相違点の認定、進歩性の判断のいずれについても特許庁の審決に誤りはないとして、Nikon側の取消事由をすべて退けた。主文は、参加人であるNikonの請求を棄却するものである。すなわち、この特許を無効とした特許庁の審決がそのまま維持された。

整理すると、この判決が直接に扱ったのは日本特許第5231529号であって、米国特許 US 8,174,560 B2 そのものではない。また判決は特許を新たに無効にしたのではなく、すでに特許庁が下していた無効審決を維持したものである。それでも、その含意は小さくない。かつて内部圧縮RAWを独占的に守っていた特許の日本ファミリーが、法廷の場で無効の判断を固める方向へ進み、しかもその有効性を最後まで争ったのが、かつて特許に縛られていたNikonであったからである。特許の効力が薄れれば、各社が内部圧縮RAWを採用する法的な障壁は下がる。この十数年の物語は、特許による囲い込みと、その終わりの両方を、日本の一件の判決の中にも映し出している。

なお、この判断を報じた英語媒体の記事は言渡しからやや遅れて2026年7月に出ており、時期を「2026年7月」とする二次情報もある。ただし判決原本によれば、言渡日は2026年6月30日である。

特許構造が生んだ市場の分裂という視点

ここまでの経緯を並べると、ひとつの見立てが浮かぶ。動画RAWの市場が長らく分裂していたのは、たんに各社の思想が違ったからだけではない。RED特許という共通の障壁が、各社に別々の回避策を強いた結果でもあった、という見方である。

ある社は外部レコーダー経由でRAWを出力する道を選んだ。第3章で見たように、SonyのFXシリーズやCanonの一部機種が、HDMIやSDIから信号を出して外部でProRes RAWやBlackmagic RAWに変換する方式を採ったのは、この文脈と切り離せない。ある社はライセンスや別方式のRAWを模索した。第10章で扱うNikonのN-RAWやTicoRAWは、まさに特許の壁を意識した第三の道であった。

こう考えると、動画RAWの規格がProRes RAW、Blackmagic RAW、X-OCN、Cinema RAW Light、N-RAWといった具合に乱立しているのは、技術的な必然というより、知的財産の地形に沿って各社が別々の谷へ流れ込んだ結果だと理解できる。RAWコーデックの多様さの根には、この特許の構造があった。

2018年以降のRED/R3D対応カメラ

以下は、2018年以降に登場した主なREDカメラと、その記録形式であるREDCODE RAW(R3D)の対応を、RED公式の各機オペレーションガイド(技術仕様)に基づいてまとめたものである。解像度とフレームレートは公式仕様の代表的な値である。

機種発表時期センサーREDCODE RAW(R3D)の解像度・最大フレームレート最大データレート
RED DSMC2 MONSTRO 8K VV2018年35.4MP フルフレーム(VV)CMOS8K(8192×4320)RED MINI-MAG
RED KOMODO 6K2020年19.9MP スーパー35 グローバルシャッターCMOS6K 17:9 40fps/5K 17:9 48fps/4K 17:9 60fps/2K 120fps最大280 MB/s(CFast 2.0)
RED V-RAPTOR 8K VV2021年35.4MP フルフレーム(VV)CMOS(8K VV/6K S35のデュアルフォーマット)8K 17:9 120fps/8K 2.4:1 150fps/2K最大600fps最大800 MB/s(CFexpress)
RED V-RAPTOR XL 8K VV2022年35.4MP フルフレーム(VV)CMOS+電子内蔵ND(V-RAPTORと同一センサーをPLマウントの大型筐体に搭載)8K 17:9 120fps/8K 2.4:1 150fps/2K最大600fps(V-RAPTORと同一)。別途ProResを最大4K120pで収録可最大800 MB/s(CFexpress・16bit)
RED KOMODO-X 6K2023年19.9MP スーパー35 グローバルシャッターCMOS6K 17:9 80fps/5K 17:9 96fps/4K 17:9 120fps/2K 240fps最大560 MB/s(CFexpress)
RED V-RAPTOR [X]/V-RAPTOR XL [X] 8K VV(グローバルシャッター)2024年35.4MP フルフレーム(VV)グローバルシャッターCMOS([X]系で新センサーをグローバルシャッター化)8K 17:9 120fps/8K 2.4:1 150fps/2K最大600fps。グローバルシャッターでローリング歪みを解消最大800 MB/s(CFexpress・16bit)

REDのカメラはいずれもREDCODE RAWを中核の記録形式として設計されており、圧縮率を選べる点は世代を超えて共通する。解像度の到達点は、スーパー35クラスのKOMODO系で6K(KOMODOは6K最大40fps、KOMODO-Xは6K最大80fps)、フルフレーム(VV)のV-RAPTOR系やMONSTRO 8K VVで8Kに達する。V-RAPTOR 8K VVは8K 17:9で最大120fps、2Kでは最大600fpsという高フレームレートも公式に掲げ、RED公式表記では16bitのREDCODE RAWを記録する。V-RAPTOR XLはこの同一センサーをPLマウントの大型筐体に収めたスタジオ・放送向けで、フレームレートや最大データレート(800MB/s)はV-RAPTORと同等である。さらに[X]を冠する世代(V-RAPTOR [X]、V-RAPTOR XL [X])はセンサーをグローバルシャッター化しており、動きの速い被写体や強い光源の下でもローリングシャッター特有の歪みが出ない点が新しい。

到達点:解像度とフォーマット

REDCODE RAWが視野に入れる解像度は、フルフレームの8Kまでを実用域としている。アスペクト比の面では、REDのセンサーはオープンゲートに近い縦横比の広いセンサーを持ち、17:9や16:9のほか、2:1や縦位置を含む多様な切り出しに対応してきた。圧縮RAWでありながら高解像度と高フレームレートを両立できる点が、REDが長くハイエンド市場で選ばれてきた理由である。ただし、その裏には第2章で述べたデータ量とストレージ、ポスト処理の負荷という代償が常にあることを忘れてはならない。

他章との整合

本章は特許と歴史に焦点を絞る。圧縮RAWの一般原理は第1章、データ量とワークフローの代償は第2章、内部記録と外部出力の技術的差異は第3章に委ねた。特許回避の具体的な現れであるProRes RAWは第4章、Blackmagic RAWは第5章、N-RAWとTicoRAWは第10章で扱う。本章で述べた「特許が市場の分裂を生んだ」という見方は、これらの章を貫く補助線として置いた。

まとめ

REDCODE RAWは、圧縮RAWを動画として連続記録するという発想を実装し、その中核を特許で守った。US 8,174,560 B2に代表されるこの特許は、圧縮したRAWの内部記録という領域を長く実質的に独占し、Sony、Jinni Tech、Apple、Kinefinity、Nikonといった相手との係争を生んだ。2024年のNikonによるRED買収と、2026年の日本での無効判断は、この構造の終わりを告げた。動画RAWのコーデックが多様に枝分かれしてきた背景には、この一件の特許を軸とした知的財産の地形があった。技術と法が分かちがたく結びついていることを、REDCODE RAWの歩みははっきりと示している。

出典(一次情報)


動画RAWコーデック解剖

  1. RAWとは何か|A/D変換・デベイヤーと「RAWのグラデーション」
  2. RAWの代償|データ量・熱・記録時間・メディア・ワークフロー
  3. なぜ同じ「RAW」で画質差が生まれるのか|内部収録RAWと外部ProRes RAWの技術的差異
  4. ProRes RAW|Apple×Atomosが選んだ「生に近い」設計
  5. Blackmagic RAW(BRAW)|「最適化されたRAW」という発明
  6. REDCODE RAWと特許|動画RAWを縛った知的財産の構造
  7. CanonのRAWコーデック群|Cinema RAWとCinema RAW Light(ST・HQ・LT)
  8. Sony X-OCN 前編|歴史と設計思想(FX5から遡るVENICE・F5/F55の系譜)
  9. Sony X-OCN 後編|ワークフロー・対応ソフトウェア・他RAWとの比較
  10. Nikon N-RAWとTicoRAW|ライセンスRAWという第三の道
  11. その他のRAWフォーマット概観|ARRIRAW・CinemaDNG・Panasonic・DJIほか
  12. 総合比較|「どれだけRAWか」の見取り図と2026年版マトリクス
  13. カラーマネジメントとアーカイブ|ACES・メタデータ駆動現像・長期保存

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